全4357文字

みんなの価値観が似通ってくる

藤原:超のつくネットワーク社会では、みんなの価値観が似通ってくる“中心化”という現象が起きます。今はiPhoneでもアンドロイドでも、新製品が出るとどうしても真似られてしまう。自由な部品調達マーケットがあるからです。だからスマホのデザインはみんな似通っている。ぱっとみるとどこのメーカーの製品か分からないくらいです。

 昔はクルマもメーカーごとに個性が強かったのですが、今は「つり目」のLEDライトのクルマばかり。ほとんどがそうなっているような気がするほどです。日本車だけでなく、テスラのクルマもつり目のLEDライトで、「丸目」は姿を消し、ジャガーさえもつり目になっています。事故が起きにくいなどの理由もあるのでしょうが、機能的に優れていると圧倒的にみんな真似されてしまいます。

 さらに多くの人はSNSを気にして生きています。隣の芝生は青く見えるもので。ライフスタイルも似てくる。評判のいいお店を探す際には、多くの人はグーグル検索を使います。大量のデータが集積されており、AIに判断を任せれば、評価の高い店を見つけやすいからです。こうなると人間の判断さえも似通ってきます。便利なので自分で判断しなくなる。その流れに人間は抗えなくなってきています。

ダイバーシティが大事と言いながら、現実には社会がものすごく同質化しているのは皮肉なことです。コロナ禍で同調圧力が強まり、異論を口にしにくくなっているとの指摘もあります。

藤原:かつてITの巨人、米IBMなどの大型コンピューター「メインフレーム」が強い力を持った時代がありました。大企業による支配の象徴です。1984年、米アップルが、個人が武装する手段として「マッキントッシュ」を、アメリカンフットボールの「スーパーボウル」でテレビCMを流して広めました。個人の自由を守るために巨大コンピューターの「ビッグブラザー」をハンマーで破壊するような内容でした。

 アップルはマッキントッシュは「個人」の武器だといった風にアピールしていました。実際、今は個人がブログを書くことで新聞社のようになれ、動画でユーチューバーが放送局になれるような時代になりました。さらに2020年代に世界の50億人がつながると、今までのような、テレビや新聞などのマスメディア対個人といった構図は崩れていくでしょう。