建築家・安藤忠雄氏が、2012年刊の自伝『仕事をつくる 私の履歴書』を改訂し新たに出版した。独学で大阪から世界に闘いを挑んだ80年の歩みを通して、これからの日本を生きる若い人たちを叱咤(しった)する書でもある。安藤氏がともに社会活動に取り組む42歳のユーグレナ社長・出雲充氏と、世代を超えて「面白い仕事」について語り合った。 第2回では、出雲氏が、「ユーグレナの食用屋外大量培養」というハードルの高い事業に挑んだ経緯について、安藤氏が質問を重ね、チャレンジすることの大切さを考えていく。

年齢を重ねても好奇心旺盛な女性たち
安藤忠雄氏(以下、安藤氏):この間、私がよく知っている大阪の経営者に、サプリメントとしてユーグレナ(和名:ミドリムシ)を薦めてみたんですが、妻はもう飲んでるけれども、私はどうも……と。
出雲充氏(以下、出雲氏):男女で区別するのは今の時代にそぐわないということはわかっていますが、私がお会いした方の中では、どうも男性に保守的な方が多いようです。ユーグレナが「ミドリムシ」だと聞くだけで、引かれてしまうという経験をしてきました。
安藤氏:女性が元気で長生きなのが、今の日本の誇りです。そのために努力しています。たとえば朝。食事をつくる。食べたら食器を洗う。その後も目についた家のことはてきぱきこなす。昭和を生きてきた男性は食べたら終わり(笑)。大体そこで差が出る。それに女性はいくつになっても美しくなるための好奇心を忘れない。
出雲氏:そうかもしれません。
安藤氏:新聞やテレビで、あるいはネットで見て、新しいものを「面白そう、早速試してみよう」と言うのは女性で、男性は「うーん」と言っているうちに5年ぐらいたってる(笑)。
出雲氏:女性は友達を誘ってみんなで楽しみながら、新しいことに貪欲な方が多いですね。
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