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ハライチは2009年にM-1グランプリの決勝に進出されてブレークしていくわけですが、その前後で同窓会への距離感は変わりましたか。

岩井:普通は、芸人としてテレビに出始めたわけですから、むしろ同窓会に行きたいと思うようになるのかもしれません。が、僕の場合はますます行きたくなくなりました。

同窓会がマンネリ化しているから、「たまには岩井も参加して盛り上げてくれよ」みたいな誘いもない?

岩井:今はほとんどないですね。ただ一方で、考えてみると、卒業後間もなく開かれた若い時の同窓会と、ある一定の年齢、例えば30歳を超えて開かれた最近の同窓会では、自分が「行きたくないな」と思う理由も変わってきたように思います。

今時、同窓会に嬉々として参加する人の正体

比較的最近の同窓会に関する話が、著書『僕の人生には事件が起きない』に出てきます。基本的に同窓会には参加しない岩井さんですが、どうしても岩井さんに会いたいという昔の同級生がいて、仲介役の親友の顔を立てるため、仕方なく会った。待ち合わせの場所にいたのは、中学時代に同じクラスになったこともなければ、2人で遊んだこともない微妙な距離感の同級生A氏だった、と。

岩井:そうですね。

A氏は、「仮想通貨でまぁまぁ儲けている」という自慢話をした後、「俺もそっち界隈では岩井くらい有名だからな!」と切り出した。それを聞いて、岩井さんは「自分と相手のどっちが有名かを競ったり、自分がどれだけ有名かを相手に説明したりすることは、不良や暴走族までで終わっていると思っていた」と驚きます。

岩井:つまり、本当に今の人生に満足している人は、同窓会なんて行かない。そうじゃなくて、彼は、仕事はそれなりにうまく行っているけどどこか物足りず、自分の承認欲求を満たせていない。そこそこお金もあって、自分的には「上手くいっている」と思っているけど、その成功を周囲と比較することでもっと明確にしたい。そんな気持ちなんじゃないかなと思いました。

あの「ハライチの岩井」と遭って、自分の価値を直接認めてもらったり、「岩井より自分の方が上だ」と思える部分を見つけることができたりすれば、心の隙間を埋める貴重な体験になります。

岩井:本当の成功者はもっと余裕があると思うんです。でも、中途半端な成功者は一番面倒くさい。マウントをとってきますからね。