グローバルで累計10億ダウンロードを突破した人気ゲームの「ポケモン GO」で世界規模の社会現象を巻き起こし、任天堂とのピクミンをテーマにした新作も発表。開発・運営を手がける米ナイアンティックは、どんな発想で作品を生み出し、世界中の人々を動かし続けているのか。

 同社副社長、川島優志氏が激動の半生を振り返りながら、「ナイアンティック」や「ポケモン GO」、「イングレス」の舞台裏を語った『世界を変える寄り道 ポケモンGO、ナイアンティックの知られざる物語』が10月に発刊された。

 著者の川島氏に、「ポケモン GO」を通してナイアンティックが目指している世界や、「ポケモン GO」が世界中の人々に受け入れられた理由などを聞くシリーズの第3回。今回は自社のアイデンティティーを揺るがすほどの影響を受けたコロナ禍での対応や、「ポケモン GO」の基盤をつくった「イングレス」の話、今後の展開などについて語ってもらった。

(聞き手は日経トップリーダー副編集長 上岡 隆)

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コロナ禍で「不要不急の外出は控える」という意識が高まりました。「人を外に出す」ことを目指していたナイアンティックにとって、厳しい現実を突きつけられた形になりました。

川島優志氏(以下、川島氏):「人が外に出れば、世界は変わる」というビジョンでやってきた会社ですので、「できるだけ家の中にいなさい」「ステイホームです」と言われる世界というのは、自分たちのアイデンティティーが否定されたような気持ちになるものでした。

 ここから先、どのようにしていったらいいのか。たとえ人を外に出せなくても、できることは何か。社内では多くの議論が生まれました。

 そんな中で、家にいても世界や人を身近に感じられるようにゲームデザインの変更を加えました。その1つが「ポケモン GO」の機能「リモートレイド」です。

 「ポケモン GO」には、「レイド」という、強いポケモンを仲間たちと協力して倒す仕組みがあります。それはその街にいるポケモントレーナーたちを一カ所に集めることで、さまざまなつながりが生まれることを期待してつくったものでした。

<span class="fontBold">川島優志(かわしま・まさし)氏</span><br>米Niantic, Inc.副社長。早稲田大学中退後、2000年に渡米。ロサンゼルスでの起業、デザインプロダクション勤務を経て、2007年Google入社。アジア太平洋のウェブデザインチームを統括し、日本人としては世界で初めて「Doodle」(Googleのトップページロゴ)をデザインする。2015年にNiantic, Inc.(ナイアンティック社)の設立と同時に、アジア統括本部長に就任。2019年副社長に。「イングレス」のビジュアルおよびUXデザインを担当したほか、「ポケモン GO」では開発プロジェクトの立ち上げを担当。
川島優志(かわしま・まさし)氏
米Niantic, Inc.副社長。早稲田大学中退後、2000年に渡米。ロサンゼルスでの起業、デザインプロダクション勤務を経て、2007年Google入社。アジア太平洋のウェブデザインチームを統括し、日本人としては世界で初めて「Doodle」(Googleのトップページロゴ)をデザインする。2015年にNiantic, Inc.(ナイアンティック社)の設立と同時に、アジア統括本部長に就任。2019年副社長に。「イングレス」のビジュアルおよびUXデザインを担当したほか、「ポケモン GO」では開発プロジェクトの立ち上げを担当。

 けれどもコロナ禍では、実際に人が外に出て集まることは難しくなりました。そこで、もともと開発を進めていた「リモートレイド」機能の実装が進められたのです。リモートレイドはレイドに人数が集まりにくい地域の方々を想定してつくり始めていましたが、状況を鑑み、より多くの方々にも役に立つと考え、提供を急ぎました。家の中にいても遠隔地のレイドに参加できるもので、自分が参加しているレイドにも、遠くに住んでいる友達を誘えるようにしました。

続きを読む 2/4 カネがないやつは学生ローンに借りに行くぞ!

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