なぜ、語彙の学習に力を入れるべきなのか?

 大切なのは、語彙の学習に力を入れることです。それは単に、単語をたくさん暗記する、ということではありません。むしろ「ただ暗記しても、意味がない」ということを知ることが大事です。

 例えば、「wear」という動詞。日本では、一般に「着る」と訳されます。

 日本語の「着る」は、「上着を着る」というように、上衣を着用するときに使いますが、英語ではズボンネックレスメガネを着用するときにも、「wear」を使います。

 また、「制服を着なさい!」と言いたいときには、「wear」は使えません。「wear」は、「着ている」という「状態」を表す単語で、「着る」という「動作」を表すときに使われるのは、例えば「put on」です。

 ですから、「すぐに制服を着なさい!」を英訳するならば、「Put your uniform on now!」であり、「Wear your uniform now!」とは言いません。

 英語が母語の話者であれば、この2つの単語を取り違えることは、絶対にありません。けれど、日本語を母語とする人は、大学生でも当たり前のように、「Wear your uniform!」と、誤った英文をつくってしまいます。それは日本語のスキーマは、「着る」を、状態(wear)と動作(put on)で区別していないからです。

 このように単語ひとつをとっても、英語のスキーマを獲得しなければ、正しく運用できません。

同じ単語を、さまざまな文脈のなかで使う練習をする

 英語のスキーマを手に入れるためには何をしたらいいのでしょうか。

 同じ単語をさまざまな文脈で使う練習をすることが効果的です。

 例えば、「wear」という動詞を、「pants」「shoes」「hat」などの名詞と組み合わせて文章を作る練習をする。同時に、「put on」を、動作が伴う文脈のなかで使う練習をする。そうすれば、上衣以外のものにも身に着けている状態については「wear」を使い、動作のときには「put on」を使うことが自然と理解できるように、英語のスキーマが育ちます。

 つまり、単語を習ったら、その単語を「さまざまな文脈のなかで使う練習をする」ということです。このような練習を繰り返せば、「Wear your uniform! 」と聞いたとき、すぐに「おかしい」と感じられるようになります。

なぜ、スピーキングよりライティングなのか?

 英語は覚えることより使う練習をすること、すなわち「アウトプットの練習」を繰り返すことが大事です。言語のアウトプットには、スピーキングとライティングがありますが、小学校高学年以上の初学者は、スピーキングよりライティングに注力するほうがいいでしょう。

 なぜなら、スピーキングはリアルタイムで進行するので、時間を自分でコントロールすることができません。録音をしてそれを聞き直すのはよいですが、とても手間がかかります。また、タイムプレッシャーから、わかっていることでも思わず間違えてしまうこともよくあります。ライティングであれば、時間を自分でコントロールできますし、何度でも見直すことができます。先生に直してもらうことも簡単にできます。ですから、自分がどこで何を間違えたのかに気づきやすく、学びを深めやすいのです。

 このようにして生きた語彙の知識が育ち、それらを使ってある程度自由に英作文ができるようになれば、スピーキング力は飛躍的に伸びていきます。それまではライティングでアウトプットの練習をたくさんするほうが合理的です。

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