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今後も優秀な外国人が日本に来てくれるという「幻想」

出口:世界には企業としての評価額が10億ドル(約1100億円)を上回る400以上のユニコーン(未上場の新興企業)があるといわれています。その中で日本の企業の数は1ケタにすぎません。どう計算しても3社から8社程度で、これではダメです。日本には新しい産業が生まれない。今の状況を素直にデータで見る必要があります。数字・ファクト・ロジックでエビデンスを見ないと、どうしても現状認識に甘さが出ます。

 日本には「ものづくり神話」があります。もちろん日本の製造業は「国の宝」です。それでも日本のGDPに占める製造業の比率は2割で、この数字は一貫して下がり続けています。雇用は16%台。このファクトを見て、「日本はものづくりの国でいい」というのは信じられません。

 日本の経済を発展させるには、新しいサービス産業をつくっていく以外に道はありません。だから日本が置かれている現状と、なぜこうなっているのかをファクトに基づいてきちんと検証したうえで、打ち手を考えて実行する必要があります。

九門:ファクト=事実をベースに意識を変えていく。それがなかなか進まないのが残念だと私も思います。留学生の話をすると、優秀な外国人材が日本に来てくれる状況が今後も続くと、多くの人が思い込んでいるようです。

出口:それは完全な間違いで、「幻想」だと思っています。立命館アジア太平洋大学(APU)の学生は約6000人ですが、その半分の約3000人が90の国や地域から来ています。学生数が100人以上いるのは、インドネシア、韓国、ベトナム、中国、タイ、バングラデシュの6カ国(順不同)です。

 しかしAPUの留学生の成績におけるトップ100人のデータを見ると、最近は中国や韓国の学生はほとんど入りません。この理由は明確で、韓国は1人当たりGDPが日本とほぼ同じです。中国はまだ日本の半分以下で1万6000~7000ドルですが、人口が多いので、日本の平均よりもはるかに収入が高い家庭がたくさんあります。つまり韓国や中国の最優秀層の学生はアメリカやヨーロッパに留学できるのです。

 それでもAPUがなぜこれだけ多くの留学生を世界から集められるのかというと、世界の大学における“ミシュランの三ツ星”を3つ持っているからです。まず経営管理研究科(GSM)は、大学院レベルのマネジメント教育の国際的な認証評価機関であるAssociation of MBAs (AMBA)より、世界でも最高水準のMBA教育を提供する教育機関として認証を取得。GSMと国際経営学部(APM)は、マネジメント教育の国際的な認証評価機関であるAACSB Internationalからも認証を取得しています。そして、アジア太平洋学部の観光学クラスターは、国連世界観光機関(UNWTO)よりTedQualという観光学教育に関する国際認証を取得しています。さらに「THE(タイムズ・ハイヤー・エデュケーション) 世界大学ランキング」では、3年連続で私立大学として西日本で1位、全国で5位に入っています。