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アフターコロナはエコロジカル?

池上:しかし、コロナ禍でリモートワークが普及して、オフィスに出勤する日を減らしたり、それならば、と、オフィススペースを削減したりする動きがあり、都心の不動産需要が減退していますよね。

 これは、もしかしたら非常にいいことなのかもしれません。

小田中:池上さん、増田さんは、世界各国を取材されてきたと思います。日本は近年、都心の容積率を引き上げる方向にありましたが、他の地域や国ではどうなのでしょうか。

増田:一概に同じであるとは言えない気がします。

池上:特にヨーロッパで、古い町並みが見事なまでに残る地域においては、非常に規制されていますね。

増田:その結果、例えば、水回りなどに多少の不便があるとしても、それはそれで受け入れて暮らしている人たちがいます。何を生活のなかで大事に考えるかが、それぞれに違うのかもしれません。加えて、国土の面積と人口の比率も大きく影響するところで、やりたいとしても、できる国、できない国があるかもしれません。日本の場合、耐震の問題もあって、古い建物を長く維持するのが難しい側面もあります。

温暖化対策は、なかなか一概に語れない、難しい課題なのですね。今回は、1番目のテーマである「感染症と『気候変動』」について議論しましたが、2番目のテーマである「都市化」とも、深く関わるところです。この点は、次回に。

■修正履歴
当初、小田中氏の発言を「日本は近年、都心の建ぺい率を引き上げる方向にありました」と記していましたが、「建ぺい率」ではなく、「容積率」が正しい表現でした。お詫びして訂正します。本文は修正済です。[2020/10/22 20:00]

「歴史学の視点から見たとき、感染症は世界をいかに変えてきたのか」

 この問いに歴史学者として答えることを通じて、新型コロナウイルスがぼくらの社会にもたらす変化を予測する材料を読者に提供したい。

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<主な内容>

【ペスト】地中海を海上輸送された「黒死病」は、民衆に力を与えた
【天然痘】「消えた感染症」は、医学にイノベーションをもたらした
【コレラ】蒸気機関が運んだ「野蛮な病」は、都市改造を促進した
【インフルエンザ】第一次大戦が拡散した「冬の風物詩」は、ナチス台頭を準備した
【新興感染症】病原体と人類の進化は続く
【COVID-19】「ポスト・コロナの時代」は来るか?

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 社会経済史を専門とする歴史学者である著者が「感染症と人間社会の相互作用=人間社会の変化が感染症に影響し、感染症の変化が人間社会に影響する」 という観点から、 過去に感染爆発を起こした代表的な感染症について、体系的に概説します。

 各章末には、それぞれの感染症についてより深く理解するうえで役立つ名著、良書を紹介するブックガイドを付しています。