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 感染症は、人間の生きる世界をいかに変えてきたのか?

 歴史学者である、東北大学大学院経済学研究科の小田中直樹教授が、この問いに答えるのが、『感染症はぼくらの社会をいかに変えてきたのか ― 世界史のなかの病原体』だ。ポストコロナを予測する材料を世界史のなかに探し、分かりやすく整理して読者に提供することを目指した。

 願わくば、本書を起点に、読者に自分の関心やニーズに即して「その先」を探求してもらいたい。

 そんな思いから今回、著者の小田中教授と対談していただいたのが、ジャーナリストの池上彰氏と増田ユリヤ氏。お二人は、今年4月28日、コロナ禍を受けて感染症の歴史を振り返る『感染症対人類の世界史』をいち早く共著で刊行。7月には、コロナ禍がもたらす経済危機の乗り越え方を歴史に学ぶ『コロナ時代の経済危機』も共著で刊行している。6月には、YouTubeチャンネル「池上彰と増田ユリヤのYouTube学園」を開設し、「教育系ユーチューバー」として、国際情勢の分析など情報発信を続けている。

 そんな2人に、小田中教授が、ぜひ尋ねたいこととは?

 「感染症と人類の歴史」から浮かび上がる「5つのテーマ」から、ウィズコロナ時代を展望する。

小田中直樹(以下、小田中):はじめまして。池上さん、増田さんに、こうやってオンラインでお目にかかれるとは、望外の喜びです。実は、私は5年前、池上さんが中学生向けにされた授業をこっそり見学したことがあるのですが、その分かりやすさ、面白さにすっかり圧倒されまして。

池上彰(以下、池上):ありがとうございます。

小田中:だから今回は、ぼくが生徒役となって「世界一受けたい感染症史のオンライン授業」を、お二人に披露していただこう、というのがコンセプトです。

増田ユリヤ(以下、増田):大学の先生にそう言われてしまうと緊張しますね(笑)。

小田中:いやいや、本にも書きましたが、ぼくのもともとの専門は感染症史ではなく、この春に一夜漬けの連続のような猛勉強をして書いたのが『感染症はぼくらの社会をいかに変えてきたのか』です。

 ぼくは歴史の研究者なので、どうしても過去を振り返ることが中心になってしまいますが、ジャーナリストであるお二人は、歴史を振り返ると同時に、現状の取材から未来の予測に踏み込まれた情報発信をされています。4月に刊行された『感染症対人類の歴史』もそうですが、7月に出された『コロナ時代の経済危機』は、未来にどう対応するかという視点がより強いと思います。

 そんなお二人から、より広い視点に立ったお話を引き出したいというのが、今日のぼくの狙いです。

池上彰(いけがみ・あきら)
1950年、長野県生まれ。慶応義塾大学卒業後、NHKに記者として入局。事件、事故、災害、消費者問題、教育問題等を取材。2005年に独立。名城大学教授、東京工業大学特命教授。海外を飛び回って取材・執筆を続けている。写真は、オンライン会議システムを使って、パソコンの画面越しに小田中教授と話しているところ(写真:栗原克己)
増田ユリヤ(ますだ・ゆりや)
神奈川県生まれ。國學院大學卒業。27年にわたり、高校で世界史・日本史・現代社会を教えながら、NHKラジオ・テレビのレポーターを務めた。日本テレビ「世界一受けたい授業」に歴史や地理の先生として出演のほか、コメンテーターとしてテレビ朝日系列「グッド! モーニング」などで活躍。日本と世界のさまざまな問題の現場を幅広く取材・執筆している(写真:栗原克己)
小田中直樹(おだなか・なおき)
東北大学大学院経済学研究科教授。1963年生まれ。86年、東京大学経済学部卒業、91年同大学大学院経済学研究科博士課程単位取得退学。博士(経済学、東京大学)。研究分野はフランス社会経済史(スクリーンショット:栗原克己)