優秀な日本の若者と外国人は似ている?

日本企業に就職してもカルチャーギャップに苦しんで辞めてしまう外国人が少なくありません。

九門:ソフト面、ハード面の両方に課題があり、組織のカルチャーに根深い問題が潜んでいます。詳細は拙著『日本を愛する外国人がなぜ日本企業で活躍できないのか?』)で説明していますが、私はとりわけソフトの部分に問題があると思っています。

 ワーキングカルチャーが合わないのです。日本の企業がいくら制度を欧米のようなジョブ型にしても、そこが変わらないと難しいと思います。外国人に日本人と同質化し、同じように働いてほしいと望むとなかなかうまくいきません。残業が多いことや、広い意味で外国人が昇進しにくいことも含まれます。制度としては、外国人はここまでしか昇進できないとは書いていませんが、実際に活躍している外国人が少ない企業も多い。こうした部分を変えていくことが必要だと思っています。

 外国人は自分の専門性でキャリアを築きたいけれど、まずは専門性をそこまで問われない日本企業のメンバーシップ型でいろいろ経験しながら関心がある専門性の領域を見つけたいというケースも多いように思います。

 その場合に、「こういうキャリアパスがある。日本の会社だとこういう仕組みになっている」と丁寧に説明したり、フィードバックしたりすることを継続しないといけません。これは特にお金もかかりませんし、制度を変える必要もありません。今やっている業務の先にどういうキャリアが描けるのかを伝えることが大事です。

 もう1つは成長スピードのギャップです。経済産業省の調査によると、企業側の希望する勤続年数は、全体の9割以上が「できるだけ長く働いてほしい」と考えています。しかし外国人の平均勤続年数は7割が「3~5年間」です。優秀な人ほどその期間に同じ仕事をずっと続けても自分自身が成長できない、20代ならマネージャーには昇進できないとなると、じゃあ会社を変えて、同じ仕事内容で高いポジションを得られるところに行きたいと考えるのは当然です。

 実はこうした課題は外国人だけでなく、優秀な日本の若者や女性にも共通する問題と言えるでしょう。取材をしていても、スタートアップにいる若くて優秀な人は意識が変化している。スタートアップでインターンをしたが、いったん大手の自動車メーカーに就職して、3年以内でやめてスタートアップに戻ってきたという日本人もいました。この人は、「自分が成長できない仕事ではダメだと感じて、スタートアップに転職した」と言います。外国人の採用に限らず、日本企業の組織のあり方が問われているように感じています。

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