マニア以外の外国人もマンガやアニメで日本のファンに

そもそもなぜ日本に留学したいと考える外国人が増えているのでしょうか。

九門:統計データに加えて、多くの留学生に直接話を聞いて感じているのは、日本の文化に強い関心を持っていることです。これは私の肌感覚としても正しいと思っています。多くの日本人の間では、マンガやアニメについてマニアの外国人が関心を持っているというイメージが強いのですが、その段階を超えて今では一般的な外国人の海外における日常生活に入り込んでいます。

 多くの外国人は日本のコンテンツを普通に見て育っています。私が教えている東大の外国人留学生でもそういう人が多いのです。日本のソフトパワーは「ニューノーマル」になっていると言っていいでしょう。

 さらに外国人はマンガやアニメから日本語を学び始めています。ドラマもそうです。このようにして関心を持つようになると日本はどんな国だろうと考えるようになります。そして短期間、あるいは長期間滞在し、次は留学して専門的なことを学びたいと思うようになるケースが多いようです。

それでも日本の大学は国際ランキングが低く、グローバルには評価されていないように思います。それなのに日本で学ぼうとする学生が増えているのは不思議な気がします。

九門:外国人留学生が日本で学びたいのは、理系ならやはり技術です。新幹線から工作機械までものづくりの分野では日本に今でも強みがあると考えている人が多いのです。文系の場合は、高齢化をはじめ、日本が「課題先進国」であると考えて関心を持つ学生も目立ちます。加えて、東日本大震災に象徴される地震や台風など災害が多い日本社会ならではの対策を学びたいというケースもあります。新興国からの留学生には、日本の高度成長期の仕組みに関心を示す人も多くいます。

 もちろん欧米はグローバル化が進んでおり、「THE世界大学ランキング」でも上位につけている大学が多いのは事実です。それでも欧米だけでなく、グローバル化という意味ではアジアの拠点も重要で、アジアで学びたいという人も増えています。

 ならば中国かとも思いますが、(共産主義で)政治的な体制が違います。そこでほかの国も候補になる。シンガポール国立大学(NUS)の公共政策大学院は、半分以上の学生が留学生で、奨学金をガンガンつけています。アジアの中でも日本の人気は高く、東大などの大学は日本人が思う以上に多くの留学生を引き付けています。

留学して卒業後にそのまま日本で働きたいと考える外国人が多いとのことですが、就職事情はどうなっているのでしょうか。

九門:日本における就職の仕組みは世界的に見て独特です。日本企業の就職と人材育成の仕組みは海外と大きく異なっています。海外は最近話題になっている(専門性を基準に採用する)ジョブ型が一般的ですが、日本だけがメンバーシップ型です。

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