「たまたま受けた幸運」を大きく返したい

:投資顧問会社を辞めて翻訳家を目指した理由が、私の人生のテーマの2つ目である「身近な不便や不満を解消してみる(小さく試みる)」です。今から約15年前のことですけど、「翻訳本は読みづらい」といわれていて、ならば自分が翻訳して読みやすくすればいいと考えたんです。同時に、「日本人は英語の読み書きも実は苦手」なら、自分が大学で英語を教えて解決すればいいと思って、翻訳の仕事をしながら大学でビジネス英語を教え始めました。

 これは翻訳家を目指した理由の裏返しというか、私がいくら一生懸命に読みやすく翻訳したところで、英語の情報は膨大にあるわけですからカバーし切れない。だったら翻訳に頼らずに最初から英語で情報を取るスキルを身に付けてもらった方が絶対早いと考えたんですね。AI(人工知能)翻訳とか自動翻訳とか、もちろんだんだん技術は進んでいくけれども、その進歩を待つ10年の間に勉強して、自分で英語を読めるようになったらいいんじゃない? と私は実は思っている。

市川:本当にそうですよね。

:離婚したときも、弁護士にちょっと不満があって、もっといい離婚弁護士がいたらいいなあ、じゃあ自分がなればいいと考えて、大学の法学部に入学しました。無謀、無計画で、思い立つとすぐ行動してしまうんです。シングルマザーとして働きながらの子育て中に、ベビーシッター探しで苦労したことがきっかけでベビーシッター会社も立ち上げました。

市川:すごい、まさしく「身近な不便や不満の解消」を全部やっていますね。

:我ながら無謀ですね(笑)。エムパワーを立ち上げたのも、ベンチャーキャピタル業界がすごく画一的でダイバーシティーがないことに違和感があったからです。なんか、周囲が男性ばっかりで。

市川:男性が多い業界ですよね。 

:みんな一流大卒で、30~40代で、趣味はトライアスロンで、なぜか顔の感じも似ているのよね。

市川:見た目が「しゅっ」としてますよね(笑)。スタートアップのCFO(最高財務責任者)も同じタイプだと資金調達がしやすい傾向があるみたいです。分かり合うのが早いですから。

:でも、なんかそれって内輪過ぎて……なんか面白くないじゃない? と。それで、女性だけでベンチャーキャピタルをつくろうかなと。気軽な感じでエムパワーを設立しました。

市川:そういうきっかけだったとは知りませんでした!

:そして、人生の3つ目のテーマが私にとって特にすごく重要なことなんですけれど、「たまたま受けた幸運を返す(できるだけ大きく)」こと。私がたまたま、すごく幸運に恵まれて教育を受けることができる環境で育ったことを、お返ししたいんです。人生の2つ目のテーマである「身近な不便や不満の解消」は小さく試すんですけど、返す方は大きくお返ししたい。大きく返すために大きく成功したい。それがエムパワーで目指すことですね。

インタビュー構成/安原ゆかり(日経BP総合研究所)

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12/15ウェビナー開催、「外食を救うのは誰か」第1回――すかいらーく創業者の横川氏が登壇

 新型コロナウイルスの感染拡大から3年目となり、外食店に客足が戻りつつあります。一方、大手チェーンが相次ぎ店舗閉鎖を決定するなど、外食産業の苦境に終わりは見えません。どうすれば活気を取り戻せるのか、幅広い取材を通じて課題を解剖したのが、書籍『外食を救うのは誰か』です。
 日経ビジネスLIVEでは書籍発行に連動したウェビナーシリーズを開催します。第1回目は12月15日(木)19:00~20:00、「『安売りが外食苦境の根源だ』ファミレスをつくった男が激白」がテーマです。講師として登壇するのは1970年にファミリーレストラン「すかいらーく」1号店を開業した横川竟氏と、外食経営雑誌『フードビズ』の神山泉主幹です。書籍を執筆した記者の鷲尾龍一がモデレーターとなり、視聴者の皆様からの質問もお受けします。ぜひ、議論にご参加ください。

■日程:12月15日(木)19:00~20:00(予定)
■テーマ:「安売りが外食苦境の根源だ」ファミレスをつくった男が激白
■講師:横川竟氏(すかいらーく創業者、高倉町珈琲会長)、神山泉氏(外食経営雑誌『フードビズ』主幹)
■モデレーター:鷲尾龍一(日経ビジネス記者)
■会場:Zoomを使ったオンラインセミナー(原則ライブ配信)
■主催:日経ビジネス
■受講料:日経ビジネス電子版の有料会員のみ無料となります(いずれも事前登録制、先着順)。有料会員以外は3300円(税込み)となります。
※第2回は詳細が決まり次第ご案内します。

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