青野:私のなかで答えを持ちすぎない、ということが、とても大事だと思っています。

 例えば、部下が何か提案を持ってきました。それを見て、「えっ! そんなのアリなの?」と、驚いたとします。自分としては、これはナイ気がする、と。

 けれど、もしかしたら、この人の意見が正しいのかもしれない。もしかしたら、このなかに次の革新的なアイデアが潜んでいるのかもしれない。

 そう思えると、伝え方が変わります。

岸見:なるほど。

「1対1の関係」で、否定しない

青野:そう思うと、やっぱり「きみは間違っているよ」という言い方はしないわけです。「それは、面白いかもしれないけれど、僕の目から見ると、こう見えるよ」となる。

 それを、オープンな場で議論するようにしています。

 私と相手、彼ならば彼の「1対1」の関係ではなく、ほかの多くの社員との関係のなかに位置づける。ほかの社員には、さまざまな視点がありますから、私の意見は、あくまで私の意見、彼の意見は彼の意見。そこに、ほかの人たちの意見を集めていったとき、答えが最後、どこに行き着くのかは、誰にも分かりません。

 もしかしたら、私のように「それは、ちょっとやり過ぎなんじゃないの?」と思う人が多いかもしれないし、ボーナス制度のときのように、若い社員の意見に対し、「これは面白いんじゃない」「いいんじゃない」と思う人が、増えていくかもしれない。

 だから、私のなかであらかじめ答えを持ちすぎない。

 リーダーって、どうしても、自分は「答えを知っている」と思いがちですよね。

岸見:よく分かります。

青野:「答えを知っている」ことこそが、自分の威厳である、と。

 そこを、手放す。手放す勇気。威厳を手放す。

岸見:自分が知らないことがあると認める勇気は要りますね。

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