<span class="fontBold">「日経ビジネスLIVE」とは:</span>「読むだけではなく、体感する日経ビジネス」をコンセプトに、記事だけではなくオンライン/オフラインのイベントなどが連動するプロジェクト
「日経ビジネスLIVE」とは:「読むだけではなく、体感する日経ビジネス」をコンセプトに、記事だけではなくオンライン/オフラインのイベントなどが連動するプロジェクト

 数字に対する責任を負い、様々な関係者と情報を共有しながら、目標を達成する――。そんな働き方がこれから求められていく若手ビジネスパーソンが必ず身に付けておかなければならないのが「数字で考え、数字で伝える」コミュニケーション術だ。ビジネス数学教育家で、『数学女子 智香が教える 仕事で数字を使うって、こういうことです。』(日経ビジネス人文庫)の著者の深沢真太郎(ふかさわ・しんたろう)氏に、ビジネスの会話で「数字」を交えることの大切さや、上手な数字の使い方について聞いた。

 深沢氏は、8月24日開催のウェビナー(オンラインセミナー)、日経ビジネスLIVE「あなたを強くするビジネススキル」シリーズに登壇する予定(日経ビジネス電子版有料会員は無料で視聴できます。詳細は記事末尾をご覧ください)。

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「ビジネス数学」という言葉は耳慣れないのですが、どのようなものなのでしょうか。

深沢真太郎氏(以下、深沢氏):ビジネス数学とは、すごく簡単に言うと、「数字で考える」力、「数字で語る」力、「論理的に考える」力、「論理的に語る」力という4つの力を鍛えることを目的とする教育テーマである――私はそう考えています。

 数字と論理を使って、物事を考えたり、誰かに説明をしたりといったことは、算数や数学の授業で皆、経験していることです。せっかく学んだのにそれがビジネスで使えていないのであればもったいない。ビジネスパーソンに対しても同じような授業があっていいのではないかと考え、ビジネス数学というネーミングで世の中に教育として普及活動をしています。具体的には、企業の研修やセミナー、またプロ野球の球団やオリンピアンを対象にしたトレーニングも行っています。

アスリートが「ビジネス数学」を学ぶ理由

なぜアスリートが「ビジネス数学」を学ぶんですか?

深沢氏:プロ野球選手を例にして説明しますね。あまり数的な感覚のない選手は、「素振りどれぐらいやっている?」と聞かれても、「めっちゃやってます!」と答えがちです。「今、結果が出ていないよね。結果が出るために素振りって必要なもの?」「絶対に必要です」「じゃあ、素振りの時間や回数をどれぐらい増やすつもりでいるの?」「うーん……今以上にガンバリます!」。こんな感じなんですよ。

 どれぐらいなのかを、現時点で数字で捉えることができていなければ、今以上にやったかどうか誰も評価できないですよね。完全に精神論で練習や試合をしているわけです。

 アスリートの世界には科学的なトレーニングがどんどん取り入れられていて、成果も出ています。論理的な思考法で練習なり試合なりができないと勝てない時代になっています。気合と根性だけではもうダメ。練習量を増やすとしたら、まず今の実力は数字で表すとどれぐらいなのか、目標に達するには練習を10%増やすのか、50%増やさなければならないのか、とにかく数字で考える習慣が身に付くようにお手伝いしています。コーチや監督も気合と根性の世界でやってきた人なので、私のような外部の人間が具体的な思考法をお教えしているわけです。

 これはスポーツの世界の話ですが、ビジネスの世界に置き換えても、まったく同じように、まだまだ精神論が支配しています。

<span class="fontBold">深沢真太郎(ふかさわ・しんたろう)氏</span><br>ビジネス数学教育家<br>数学的な思考ができるビジネスパーソンを育成する「ビジネス数学」を提唱し、述べ1万人以上を指導してきた。BMコンサルティング代表取締役。日本大学大学院総合基礎科学研究科修了。理学修士(数学)。予備校講師や外資系企業の管理職などを経てビジネス研修講師として独立。大手企業・プロ野球球団・トップアスリートなどの教育研修や人材開発を手掛ける。仕事での数字活用能力を測定する「ビジネス数学検定」(2006年開始)の国内初の1級AAA認定者で、18年には「ビジネス数学インストラクター制度」を立ち上げ、指導者育成にも従事する。メディア出演多数、著書は国内累計25万部を超える。主な著書に『数学女子 智香が教える 仕事で数字を使うって、こういうことです。』(日経ビジネス人文庫)がある。
深沢真太郎(ふかさわ・しんたろう)氏
ビジネス数学教育家
数学的な思考ができるビジネスパーソンを育成する「ビジネス数学」を提唱し、述べ1万人以上を指導してきた。BMコンサルティング代表取締役。日本大学大学院総合基礎科学研究科修了。理学修士(数学)。予備校講師や外資系企業の管理職などを経てビジネス研修講師として独立。大手企業・プロ野球球団・トップアスリートなどの教育研修や人材開発を手掛ける。仕事での数字活用能力を測定する「ビジネス数学検定」(2006年開始)の国内初の1級AAA認定者で、18年には「ビジネス数学インストラクター制度」を立ち上げ、指導者育成にも従事する。メディア出演多数、著書は国内累計25万部を超える。主な著書に『数学女子 智香が教える 仕事で数字を使うって、こういうことです。』(日経ビジネス人文庫)がある。

数字を「言葉として使う」力がビジネスパーソンには必須ともおっしゃっています。

深沢氏:ビジネスとは人、時間、お金を使った営みで、これらは全て数字で表現できる。だから「数字で表現していないということは、ビジネスの会話をしていないのと同じことですよ」と研修ではまずお伝えしています。

 例えば、上司から「最近の状況はどう?」と報告を求められたとき、若手社員が元気よく「頑張っています」と答える。オフィスでよく見かける光景ですが、ビジネスの会話にはなっていません。「頑張っている」という本人の主観自体には何の情報もないからです。進捗率や予算の達成度合いなど、「ざっくり」としたものでもいいから客観的な「数字」を交えることで初めて「共通認識」が生まれます。

 一方、30代、40代と年を重ねて、自分が上司の側になると、今度は違う理由で数字で会話をしなくなりがちです。キャリアを積んでいくと、数字で語らないと認めてもらえないことは分かっています。分かっているけれども、なぜできないのか。それは、数字で語ると、その数字通りにできないときに「約束を果たさなかった」という烙印(らくいん)を押されてしまうからです。そのため、「なるべく数字で語りたくない」という気持ちが無意識に生まれてしまうのです。

続きを読む 2/2 数字を「曖昧に使う」テクニック

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