ポイント③ コンテンツは外部から集める
アルゴリズムがあってもコンテンツがなければ配信はできません。バイトダンスはニュースコンテンツを作るのではなく、既存のものを流用しました。
ところが、そのやり方が良くありませんでした。原作者やメディアの許可なくニュースを配信したり、掲載された広告や出典元を許可なく削除して自社の広告に入れ替えてしまったりしたのです。さまざまなメディアから訴えられてしまいました。
そこで今日頭条は、各メディアと正式に契約を結んで承諾を得ることにします。契約先は、中央や地方の政府機関、新聞社やウェブメディアなど多岐にわたります。メディアとしては、正しく情報が掲載されるのであれば問題はありません。むしろ、閲覧者数が増えて広告料収入も入るというメリットがあります。
外部のメディアの記事に活路を見出したバイトダンスは、2014年に新しいサービスを始めます。メディア各社や政府機関は、アカウントを開設すれば、直接ニュースを書き込むことができるようにしました。
そのときすでに今日頭条には数千万人の利用者がいました。記事を書けばたくさんの利用者の目に触れることができます。そのため、メディア各社や政府機関は、こぞってアカウントを開設したのです。
ライターを育てて企業にプロモーション活動の場を提供
この仕組みは一般ライターにも広げられました。一定以上の人気があり、バイトダンスに認められたライターは、バイトダンスが立ち上げたプラットフォームを通じて、企業と契約してプロモーション活動の場を提供することもできます。プロモーション活動では、ライターが広告に最適化したトピックや内容の記事を作成します。
そしてこの仕組みがうまくいくという感触をつかんだバイトダンスは、一般ライターの育成プログラムを次々に立ち上げます。2015年、活躍しているライター1000人を選び出し、月1万元(約16万円)の基本収入を保証するなどして支援を行いました。投稿アカウントの数は2019年12月までに180万を超え、1日平均60万件の記事が発信されています。
個人のライターが書く記事は、それぞれの多様な視点が生かされたもので、大手メディアのそれとは一味違ったものとなります。これが今日頭条の魅力です。しかも、利用者には自分の好みや関心に合ったニュースがレコメンドされ、配信されます。閲覧すればするほどその履歴が今日頭条に蓄積され、アルゴリズムによって解析されるのでレコメンドの精度も上がります。ニュースとともに配信される広告も、利用者の好みや関心に合ったものになるので広告媒体としての価値も高まるのです。
こうして今日頭条が成功を収め、ビジネスモデルの原型が定まりました。バイトダンスは、今日頭条で培ったビジネスモデルの原型を他の領域に横展開して成長を加速させます。そのビジネスモデルをピクト図解(板橋悟さんが考案。板橋悟著『ビジネスモデルを見える化するピクト図解』ダイヤモンド社などを参照)で示すと、次のようになります。

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