米ドルが世界の準備通貨でなくなる日が来る

 米ドルの先行きに関する読者の関心も高かった。「危機の際に『米ドルは安全だ』と多くの人が考えるので、ロジャーズ氏はたくさんの米ドルを保有していると聞く。だが、準備通貨としての米ドルのステータスは長期的に変化すると考えているのか」という質問に対して、ロジャーズ氏はこう答えた。

 「米ドルの地位が変わることは間違いない。(近代以降の)歴史を通じて、世界には(経済的な覇権国が発行する)準備通貨が存在した。だが、世界情勢の変化に伴い、その地位が失われる場合がある。米ドルは70~80年の間、世界の準備通貨だったが、すでに状況は変化しつつある」

 「中国に加えて、ロシアなどの国も、米ドル以外の準備通貨の選択肢を模索している。米国は政治的に対立する国に経済制裁を課す場合が多い。そうなると保有している米ドルを使えなくなるリスクがあるからだ。多くの人は、それが公平ではなく、世界はそのような状態にあるべきではないと考えている。だから多くの国が米ドルを代替できる準備通貨を探している」

 「私が米ドルを所有しているのは、それが健全だからではなく、経済が混乱する時に人々が安全な避難所を探すからだ。人々は、歴史的な理由から米ドルは安全な避難所だと考える。このため危機の際に米ドルは高値になる可能性が高い。その際に、私は自分が保有する米ドルを売って、他のものに投資することを考えている」

 
「米ドルはすでにピークに達しているのかもしれない」と語るロジャーズ氏
「米ドルはすでにピークに達しているのかもしれない」と語るロジャーズ氏

 「トランプ大統領は、米ドルを大量に印刷して、借金を増やしている。米国があまりに多くの債務を背負うようになっていることを、人々は恐れ始めているため、米ドルはすでにピークに達しているのかもしれない」

 「長期的にみると米ドルは世界の準備通貨であり続けられないだろう。それは奇妙なことではない。それは歴史を通して起こってきた。かつては英国のポンド、オランダのギルダー、スペインのペソが準備通貨だった時代があった。しかし今はそうではない。これは常に歴史の中で起こっており、再び起こるだろう」

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