いうならば「カスタマーイン」ですね。例えばアイリスオーヤマの大山健太郎会長は「ユーザーイン」という言葉を明示的に使われていますが、やはり「一人の顧客を見よう」という発想が根底にあります。

西口氏:なるほど。「マーケットイン」という言葉は「プロダクトアウト」の対義語として使いがちでしたが、目指すべきは「カスタマーイン」「ユーザーイン」ですね。

楠木氏:そうですね。そして、その先に「マーケットアウト」があるのだと思います。顧客起点の経営とは、カスタマーを追求した上で、自分たちでマーケットをつくり、提示しているわけですよね。僕の本でも、米サウスウエスト航空がLCC(低コストキャリア)という新しいマーケットを生み出したこと、スペインのZARAがファストファッションというカテゴリを確立したことなどを書いていますが、これもすべてマーケットアウトです。

 ユニクロも、今「ライフウェア」という名称で、新たなマーケットをつくろうとしていますよね。商品力が強いため、プロダクトアウトという見方もされますが、本質的には顧客の潜在的なニーズを捉えた展開だと思います。

(第3回に続きます)

 会社や事業が成長し続けるために、一番必要なことは何か──。
 「すべては顧客のためにある。顧客起点でなければ経営ではない。本書は商売の根幹を問う」一橋大学大学院教授 楠木建氏推薦!

 ベストセラー 『たった一人の分析から事業は成長する 実践 顧客起点マーケティング』(翔泳社)から3年。ロート製薬「肌ラボ」、ロクシタンジャポン、スマートニュースなど、あらゆる商品やサービスを売り伸ばし、200社を超す企業の経営者に助言してきた西口一希氏による経営論。経営と現場が一体となって顧客に向き合い、事業成長につなげるための必読書です。

◆あらゆる経営者の関心が顧客から離れるのはなぜか
◆昨日の顧客が今日も顧客であるとは限らない。どうすれば価値を見いだしてもらえるか。
◆3つのフレームワークで顧客の「心理・多様性・変化」を可視化
◆大企業からスタートアップまで、実名を含む多数の事例を掲載

 変化する顧客の心理を把握するには? 売り上げを伸ばすために欠かせない顧客起点の経営を実現するには?「誰に(WHO)」対して「何を(WHAT)」提案すべきかという「顧客戦略(WHO&WHAT)」の立案をはじめ、本書は顧客理解を経営に組み込む方法を、分かりやすく、徹底解説します。

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