決定に対する全責任を負わなければならない

 さらに一倉氏は経営者に「決断力」を持つことを強く求めていた。経営環境がどんどん変化する中でも、トップが迷わずに、迅速に意思決定できるかどうかが、企業の生死を分けるからだ。

 「経営担当者は、つねにいろいろな決定をせまられる。それらに対して、よく事態を見きわめ、判断し、決定しなければならないのが経営担当者なのだ。決定によって将来の方向性が見きわめられるのである」

 「決定の段階で最もいましめなければならないのがは、ちゅうちょすることである。ちゅうちょすることは、誤った決定をするよりもなお悪い」

 「その第一の罪悪は、時機を逸することである。いかに優秀な決定であっても、タイミングをはずしてしまったら、もはや、それはタイミングのよい、劣った決定よりもなお劣る。決定はすみやかなるをもって尊しとするのだ」

 「第二の罪悪は、部下を不安がらせることである。部下は上司の意図をはかりかねて、不安の念にかられる。そして、どうしていいかわからずに、いたずらに右往左往することになる。その活動は、統制のとれない烏合の衆となってしまう」

 「そればかりか、なかなか決定をくださない上司は、部下の信頼を失っていく」

 「決定には大きな勇気がいる。その決定が重大な結果を引き起こさないともかぎらないし、決定に対する全責任を負わなければならないからである。将来の危険が、つねにつきまとっているのだ」

 「経営担当者は、それでも、みずからの責任において、断をくださなければならないのだ。これをおそれたら、経営担当者の資格はないと知るべきである」

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