まず自分自身を管理せよ

 「われわれの教えてもらう経営書(かどうかも疑わしい、経営書と銘うつものの大部分は管理書である)や講座などでは、“部下を管理する”ことばかりくり返しくり返し、ゲップのでるほど説かれている。けれども、これは経営担当者にとって、いちばん重要な仕事であろうか。これはあきらかにおかしい。人の上にたつ人の最も重要な仕事は、まず自分自身を管理することである」

 「人を管理するまえに、まず自分自身を管理することであり、部下の仕事はなんであるかを考えるまえに、自分の仕事はなんであるかを考えることである」

 「部下に目標をあたえるまえに、まず自分に高い目標をあたえることである。みずから目標を設定し、企業への貢献度をみずから測定し、みずから評価することでなければならない。でなければ、部下に目標をあたえ、それを測定し、評価する資格はない」

 「自分を管理しないということは、ドラッカーにいわせれば、『あたかも、機関車がないのに客車の製造にばかり集中している状態』である。会社を、自分の部門を、一定の方向に牽引していく機関車の役目が経営者、管理者の任務なのだ」

 「他人のほうばかり見つめているから、他人の立場や、部下のかかえている問題ばかりに心をうばわれて、自分の目標や責任を忘れてしまうのである。これでは有能な経営担当者とは、お世辞にもいえない。こういう人にかぎって、部下が思うように仕事をしないといってブツブツいっているものである」

 「部下を思うように働かせることができないのは、自分自身を働かせることができないからである。自分自身を管理できない人が、他人を管理できるわけがない。自分自身を管理する能力が、とりもなおさず部下を管理する能力なのである」

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