しかし、厳しい状況を包み隠さず明かされると、部下はやっぱり不安になると思います。そこにどう対応すればいいのか……。やはり「部下に関心を持つ」ということなのでしょうか。
岸見:その通りです。
「不安を持つ必要はない」「不安を持たなくていい」などということは、言ってはいけないのです。
不安を訴える部下に、「いや、そんなに不安に感じる必要はないんだ」と上司が言ったところで、なんの勇気づけにもなりません。
そのうえで、「皆が一緒になって乗り切っていく」というスタンスに立つ。
上司一人で頑張らなくていい
岸見:先ほどはリーダーへの負担が強い発言をしましたが、私が今回の本で提唱する「民主的なリーダーシップ」は、リーダーが部下を「率いる」わけではありません。上司だけがこの危機を乗り切るために一人で動かないといけないわけでなく、自己犠牲を強いられる必要もないのです。「我々に何ができるかを考えていこう」ということを、リーダーが部下に語りかける。「実は私も分からないのだ」ということを、率直に表明していいと思います。
「私も不安だし、あなたたちも不安かもしれないけれど、この状況を一緒に力を合わせて乗り切っていこう」
そう言える上司であれば、部下は信頼すると、私は思います。
― なるほど、そう考えると、心が軽くなります。次回は、今回の相談で未回答の部分。すなわち「リモートワークで部下の姿が見えない不安」について、岸見先生のアドバイスをお聞きします。
上司であることに自信がないあなただから、
よきリーダーになれる。そのために―
◎ 叱るのをやめよう
◎ ほめるのをやめよう
◎ 部下を勇気づけよう
『嫌われる勇気』の岸見一郎が放つ、脱カリスマのリーダーシップ論
ほぼ日社長・糸井重里氏、推薦。
「リーダー論でおちこみたくなかった。
おちこむ必要はなかったようだ」
●本文より―
◎ リーダーと部下は「対等」であり、リーダーは「力」で部下を率いるのではなく「言葉」によって協力関係を築くことを目指します。
◎ リーダーシップはリーダーと部下との対人関係として成立するのですから、天才であったりカリスマであったりすることは必要ではなく、むしろ民主的なリーダーシップには妨げになるといっていいくらいです。
◎ 率直に言って、民主的なリーダーになるためには時間と手間暇がかかります。しかし、努力は必ず報われます。
◎ 「悪い」リーダーは存在しません。部下との対人関係をどう築けばいいか知らない「下手な」リーダーがいるだけです。
◎ 自分は果たしてリーダーとして適格なのか、よきリーダーであるためにはどうすればいいかを考え抜くことが必要なのです。
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