バフェット氏「株価が50%以上下落することを覚悟した方がいい」

 つまりバフェット氏は、コロナ・ショックをきっかけとする経済危機が大恐慌のような深刻な事態に発展して、株価が大幅に下落するリスクを懸念しているようだ。「株式を買って保有するなら50%以上下落することを覚悟した方がいい」「過去2カ月の間に世界を混乱させ、習慣を変え、ビジネスを危険にさらしたウイルスが、今後6カ月、1年で何をするかについて確信を持てない」。こうしたバフェット氏の発言からは株式市場と世界情勢の先行きに対する強い不安が感じられた。

 今年2月から3月にかけて、新型コロナウイルスの感染拡大を受けていったん暴落した株価は、その後反発したが、バフェット氏は懐疑的に見ていた。コロナ・ショックが企業業績に与える影響が本格化するのはむしろこれからで、先行きを楽観視できないと思っているようだ。

 歴史に詳しい投資家としては、世界最大級のヘッジファンド、米ブリッジウォーター・アソシエイツの創業者であるレイ・ダリオ氏も有名だ。ロジャーズ氏も注目する投資家であるダリオ氏のブリッジウォーターも6月16日、顧客向けの書簡で「株式市場は失われた10年を経験する瀬戸際にある」という警告を発した。

 なぜそんな主張をするのか。過去数十年にわたって、先進国の多国籍企業の収益性向上をけん引してきた「グローバリゼーション」のピークが過ぎたからだという。米中の貿易戦争に象徴される保護主義的な国家間の経済対立と世界的な新型コロナウイルスの感染拡大により、グローバル企業はコストの最適化ではなく、信頼性を重視したサプライチェーンを構築する動きを加速させている。こうした動きが企業の利益率の低下につながることを懸念している。

 最近までグローバル企業は、生産コストが安い国や地域を探して世界的なサプライチェーンを構築してきた。この結果、グローバル化を成功させた多くの企業は利益率が向上。しかし米中対立などの貿易戦争やパンデミックの影響で、サプライチェーンが機能しなくなる可能性を考えると、コストが高くても、取引ができなくなるリスクが低い地域に工場を置いた方が合理的だと考える企業が目立つようになった。

 米半導体大手のインテルや台湾半導体大手のTSMCが米国に最先端の工場を作ろうとしているのはその表れだとダリオ氏は考えている。こうした動きが加速すると企業の収益拡大にブレーキがかかり、利益水準が低下して長期的に株価も下がっていく可能性が高いと見ている。

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