複数分野の専門家が集まらないと研究開発できない時代

2040年に向け、これからの時代で競争力を持つために、どんな人材になればよいのでしょうか。特に、鈴木さんのような研究者のキャリアは、今後どう積み上げていったらよいのでしょうか。

成毛:生命科学の分野は分からないですけど、ITの研究者はコンピューターサイエンスではなく数学や物理を専門で学んできた人が増えています。特に量子コンピューターの開発は、基本的に数学や物理を専門とする人がメイン。彼らが作ったプログラムを、コンピューターサイエンスをやってきたエンジニアが書き直して製品として作り上げていく、という流れがあります。ベースとなる数学的なロジックは、数学屋や物理屋じゃないと考えられないんですよね。

 現代の研究開発は、複数の分野の専門家が集まらないと研究開発が進まないと思います。製薬業界もそうでしょう。今回の新型コロナウイルスのmRNA(メッセンジャーRNA)ワクチンも、レセプターの研究者やmRNAの研究者、tRNA(転移RNA)の研究者、脂質ナノ粒子で包む工程に詳しい人など、違う分野の専門家が集まって開発されているわけです。少なくとも、8から10程度の専門分野の人たちが集まって、1つのものを作り上げるようになっている。

 『2040年の未来予測』にも書きましたが、がんなんかはあと20年もすれば、特殊ながん以外ほとんどなくなると予想しています。異なる研究分野を専門とする人たちが世界中から集まって、複雑なメッシュ構造のネットワークをつくって研究開発を進めることで実現するはずです。今はいろいろな研究開発の先端領域で、こうした専門家が複雑なメッシュ構造を作っているんですけど、その中に日本人はほとんどいないんですよね。びっくりするくらい。

鈴木:今後は、さまざまな分野を融合したプロジェクトで力を発揮できないと生き残れないですよね。逆に言えば、異分野の融合を促進できるリテラシーや、自分の研究領域の周辺に対するリテラシーがある人材は、生き残れると思っています。

 応用生物学の分野も、そのうちAI(人工知能)で発見できることはAIに任せるようになると思います。そうなると、開発の仕組み自体をつくれて、人を集めてうまく実装できる人に活躍の機会が与えられるようになっていくでしょうね。

たちまち13万部突破! Amazon総合1位獲得、好評販売中!

 iPhoneが日本で発売されたのは、たった13年前でした。現在、スマートフォンがない世界は考えられません。テクノロジーの進歩に気づかないだけでなく、ほかのことも、気づいたときには手遅れなのが人間のさがです。

 地震や災害も、リスクを分かっていながらも被災するまで手を打つ人は少ないし、明らかに社会制度は破綻しつつあります。人口は増えず、老人ばかりの国になるし、環境問題も悪くなる一方です。これまでと同じように暮らしていたら、今の年齢によっては取り返しのつかない可能性もあります。

 この本では、さまざまなデータから導き出されるありのままの未来を著者が予想します。

 暗い未来でも未来を予測できる力さえあれば、どう生きればいいかは自然と分かります。「今日」にはこれから起こることの萌芽(ほうが)があり、現在を見つめれば、未来の形をつかむことは誰にでもできます。

 本書は、ただ知識を得るためだけの本ではありません。読んだ後には、俯瞰(ふかん)的に未来を考え、そして自分の人生を切り開く力が付いているはずです。

小さな藻類ユーグレナが食料問題、温暖化問題の救世主!

研究成果が社会に還元されない限り、
社会は1ミリも変わらない。

研究開発を社会実装する科学者のフロントランナー!
ユーグレナ社最強の研究者・鈴木健吾さんが語る「世界の変え方」。

スタートアップの現場で形成された、
「社会実装する研究開発」を支える、
「ロジックツリー」「ランチェスター戦略」「比較優位の原則」の活用。
文系、理系両方の視点から読める新しい経営書!

この記事はシリーズ「Books」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。

ウェビナー開催 成田悠輔×安田洋祐 激論!「ビジネス+経済学」

 米グーグルなど最先端企業で経済学者の採用が相次いでいます。最新の経済学は様々なビジネス活動を遂行する根拠となり、確実性を高めることが実証されています。一方、日本に目を向けてみれば、仕事場でも「本当は防げる失敗」が繰り返されているのが実情です。

 日経ビジネスLIVEは日経BOOKプラスと共同で、7月19日(火)20:00~21:00に「気鋭の経済学者が激論『経済学はビジネスに役立つか?』」と題して、ウェビナーをライブ配信する予定です。登壇するのは米イェール大学助教授の成田悠輔氏と大阪大学大学院准教授の安田洋祐氏。本当に役立つ経済学を、ビジネスに取り入れるにはどうすればいいか。経済学の活用を通じて企業はどんなメリットを得られるのか。気鋭の経済学者による議論をお届けします。

■開催日:2022年7月19日(火)20:00~21:00(予定)
■テーマ:成田悠輔×安田洋祐 気鋭の経済学者が激論「経済学はビジネスに役立つか?」
■講師:米イェール大学助教授・成田悠輔氏、大阪大学大学院経済学研究科准教授・安田洋祐氏
■モデレーター:エコノミクスデザイン共同創業者・代表取締役・今井誠氏
■会場:Zoomを使ったオンラインセミナー(原則ライブ配信)
■受講料:日経ビジネス電子版の有料会員のみ無料(事前登録制、先着順)。

>>詳細・申し込みはリンク先の記事をご覧ください。