もう、ITは発展しないと。

成毛:伸び率が低いですよね。100万円投資して、5年後に倍になるかもしれませんが、それは僕らの投資のやり方じゃないんで。100万円投資して、20年後、30年後に1万倍になる会社に投資したいんです。ビル・ゲイツも最初の投資金額は5000ドルですよ。それがピークで40兆円持っていた。イーロン・マスクもジェフ・ベゾスも同じことをしています。うん、やっぱり1万倍、10万倍にならないとつまらないですよ。

<span class="fontBold">鈴木 健吾(すずき・けんご)</span><br>ユーグレナ 執行役員 研究開発担当<br>1979年生まれ。2005年、東京大学大学院農学生命科学研究科修士課程在学中にユーグレナを設立し、取締役就任。16年、博士(農学)学位取得。18年より現職。19年、博士(医学)学位取得。理化学研究所 微細藻類生産制御技術研究チーム チームリーダー、マレーシア工科大学 マレーシア日本国際工科院 客員教授、東北大学未来型医療創造卓越大学院プログラム 特任教授(客員)を務める。
鈴木 健吾(すずき・けんご)
ユーグレナ 執行役員 研究開発担当
1979年生まれ。2005年、東京大学大学院農学生命科学研究科修士課程在学中にユーグレナを設立し、取締役就任。16年、博士(農学)学位取得。18年より現職。19年、博士(医学)学位取得。理化学研究所 微細藻類生産制御技術研究チーム チームリーダー、マレーシア工科大学 マレーシア日本国際工科院 客員教授、東北大学未来型医療創造卓越大学院プログラム 特任教授(客員)を務める。

帰納的に考える起業家、演繹(えんえき)的に考える投資家

鈴木健吾氏(以下、鈴木):僕は大学に入学した時点では理工系だったのですが、大学3年で専門を選ぶ際に「社会はこれからどんな研究を必要としているのか」を考えて、農学部にしたんです。バイオテクノロジーは未知の研究テーマが多そうで、社会還元にもつながりやすそうだなと。

 僕たちの会社はサステナビリティー(持続可能性)を重視していて、関連する研究で新しい時代を創っていきたいと考えています。地球環境のサステナビリティーも研究対象ですが、個体のサステナビリティー、つまり老化の抑制や若返りはテーマとして面白いですよね。成毛さんがおっしゃったように、投資の対象として興味を持ってくださる人が多いテーマだとも感じています。

 不老長寿が実現することで高齢者の介護の負担が軽減されたり、少子高齢化が進んでも労働人口が維持されたりすると、社会問題の解決にもつながります。不老長寿と一口に言っても、老化細胞の除去や細胞自体の遺伝子のスイッチの入れ直しなど、いくつかテーマがあるので、うまく課題を設定して解決していけたらと思っています。

成毛:スタートアップを立ち上げる人たちは、「社会のため」「人類のため」が最初にあり、そこから事業を発想しますよね。「社会のため」というのは口先だけじゃなく本気で言っていて、すごく正しい。正しいけど、僕の発想とは逆。僕は、最初に基礎科学があってその延長線上に何かが生まれると考えています。ベンチャーキャピタリストは僕の考えに近い人が多いかもしれませんね。

鈴木:ユーグレナの社長である出雲はまさに「社会のため」「人類のため」が先にある人間ですね。僕は研究対象として微細藻類ユーグレナ(和名:ミドリムシ)に興味を持ちましたが、やはり最終的には研究成果を社会に実装して、世の中の課題を解決し、よりよい未来を作りたいと考えています。

 成毛さんの本『2040年の未来予測』にあるように、2040年には日本が国際競争力を失うのではないかという懸念もありますが、いま一度、日本人は日本がどうなったら幸せなのかを考えたらよいのではないかとも思うんです。経済的な競争だけじゃない幸せがもしかしたらあるかもしれない。そして、その幸せは最終的にテクノロジーによってもたらされるのではないでしょうか。

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