中堅中小企業に「RPA」の導入が広がっている。業務を自動化し、働く環境を改善して人手不足が解消したり、顧客対応や現場の教育に時間を充てられるようになったりした例が増えてきた。RPAは小規模の組織が抱える経営課題の突破口となるインパクトを秘める。
RPA活用の実態と、中小企業が押さえるべき導入ノウハウを詳細に解説する新刊『自動化経営の教科書 ~小さい会社がたった3カ月で変わる!RPA活用プロジェクト』から一部を抜粋して紹介する。

RPAって何?
まずはこの認識を合わせましょう。
「RPA」は、「Robotic Process Automation(ロボティック・プロセス・オートメーション)」の略ですが、言葉よりも、要するに何なのかが重要です。私はよく「RPAを一言で言うと、パソコンの定型業務を自動化するソフトウエアのことです」と説明しています。
例えば、請求書を作成したり、システム間でデータを転記入力したり、Web上の情報を拾ってきてExcelにリスト化したりといった、さまざまな定型業務を自動化することができます。
30年以上にわたってほとんど経済成長しておらず、労働人口も減少の一途をたどる日本には、もう生産性を上げるしか道はありません。そこで注目されているのがRPAなのです。RPAを活用して、定型業務を自動化し、より生産的な事業活動に時間を割けるようにしようというのが大きな狙いです。
日本においては、RPAは2017年ごろから大手企業を中心に導入が進みました。そして、19年ごろから、徐々にではありますが中小企業での活用も広がってきました。
MM総研の予測(「RPA国内利用動向調査 2021」)によると、年商50億円未満の企業におけるRPA導入率は20年度で11%。50億円以上の大手・中堅企業との差が大きく開いていましたが、21年度から普及期へ入り、22年度には28%にまで普及するとされています。
中小零細企業も含めると本当に現状で11%もあるかどうか、22年度で28%にまで普及するかどうかは分かりませんが、中小企業においてRPA導入がますます進んでくるのは間違いないでしょう。
今までRPAという言葉を聞いたことがなかったとしても、どんな企業も「生産性向上」は課題のはずです。そして、その課題を解決する1つの手段がRPAなのです。
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