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 日経ビジネスの取材に対し、2019年時点で「2020年にも未曾有の危機が到来する」と予言していた世界的な投資家のジム・ロジャーズ氏。5月25日に日経BPから出版した新刊『危機の時代 伝説の投資家が語る経済とマネーの未来』では、大恐慌からリーマン・ショック、ブラックマンデー、新型コロナウイルスまで歴史を振り返りつつ、繰り返される危機の本質とどのように行動すべきかを詳細に読み解いている。

 日経BPは6月11日に『危機の時代』の購読者限定で、ロジャーズ氏自身が登場する第1回のウェブセミナーを開催した。そこで本イベントにおけるロジャーズ氏の発言を抜粋して、複数回に分けて記事化する。今回は、新型コロナウイルスが世界経済に与える影響に関するロジャーズ氏の最新の見方を紹介する。

 6月11日に開催したジム・ロジャーズ氏本人が登場するウェブセミナーには、『危機の時代』を購入した読者から多数の応募があり、約500人が参加登録した。シンガポールの自宅からウェブセミナーに参加したロジャーズ氏は、日本の読者のためにお気に入りの「富士山」の絵柄が描かれた蝶ネクタイを締めて登場した。

 事前に『危機の時代』の読者から寄せられた300以上の質問から、モデレーターの小里博栄氏、日経ビジネスの広野彩子副編集長、日経BPクロスメディア編集部の山崎良兵編集部長が選んだ問いに、ロジャーズ氏はときおりジョークも交えながら丁寧に回答した。

 最初の質問は、多くの参加者が関心を持っていた「新型コロナウイルスの問題を受けた最近の経済の状況と先行きに関する見方」だ。一部の国では感染拡大にブレーキがかかりつつあり、株式市場も持ち直しつつあるが、ロジャーズ氏は現状をどう見ているのか。

 「現在、世界中が新型コロナウイルスの影響で深刻な問題を抱えている。しかし世界は過去にも深刻な感染症を経験しており、それでも生き残ってきた。今、一番の問題は(新型コロナを受けた財政出動などによる)借金が世界中で膨れ上がっていることだ。とりわけ日本と米国の負債比率は非常に高い。借金が多すぎるため、今回の危機がより深刻化し、誰にとっても悪いものになることは明らかだ」

 「世界にこれほど借金がなければ、危機がもう少しましな状況になる可能性もあった。残念なことに、米国は3カ月前の時点にすでに世界最大の債務国だったが、さらに巨額の借金を増やした。世界はこの代償を長期間にわたって支払うことになる」

『危機の時代』の読者限定ウェブセミナーで熱弁をふるうジム・ロジャーズ氏

 「日本銀行も毎日、印刷機の電源を入れ、大量のお金を印刷し続けている。同じようなことは世界中で起きている。(将来、借金を返済することになる)子供たちにとって良くないことで、もちろん高齢者にとっても良くない。それは誰にとっても良くないことだ」