日本株の「逆バブル」に着目せよ
私が本書で一番強調したいメッセージは、日本株に起こっている「逆バブル」に気づいてほしいということです。
日経平均は一時3万円を超え、「かなり上がってしまった」「バブルでないか」と言う人がいます。確かに、超人気で、とんでもない高い水準で買われている銘柄もあります。一方、人気がないために株価低迷が続き、利益や配当から見てあり得ないくらいの安値に放置されている銘柄もあります。つまり、今の日本株には、バブルと逆バブルが同居しています。
バブルとは、グロース(成長)株を夢だけで熱狂的に買い上げ、企業価値で説明できない高値まで上昇させてしまうことです。一方、逆バブルとは、バリュー(割安)株を夢がないと売り込み、企業価値で説明できない安値まで暴落させてしまうことです。
バブルに敏感な日本人は、株価が派手に上昇する小型株を見ると、すぐに「バブルだ」と騒ぎます。ところが、あり得ないくらい安値に売り込まれている株があっても「逆バブル」と指摘する声はほとんど出ません。
具体例でお話ししましょう。まず、三菱UFJフィナンシャル・グループ(以下、三菱UFJと表記)の株価推移をご覧ください。

三菱UFJ株はこのチャートで分かる通り、2008年以降、金利低下とともに売られてきました。日経平均を大幅に下回るパフォーマンスとなっています。株式市場では「金利低下→銀行の収益悪化」というイメージが定着しているので、金利が低下するたびに、世界中で銀行株が売り込まれました。その流れで、三菱UFJも売られてきたのです。
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