髙田:そこに関連するのかどうか、ちょっと伺いたいことがあるんです。

 僕の持論として、基本的に修羅場は避ける。修羅場が来ないようにするために、修羅場じゃない今のうちにめちゃめちゃ頑張る、というコンセプトがあって、人生も経営もそうやってきました。

 だけど、藤田さんの本なんか読んでいると、創業者だけに、ものすごい修羅場を3回くらい経験しているじゃないですか。『ドラゴンボール』じゃないけれど、やっぱり、修羅場をくぐると人は強くなるもので、やっぱり修羅場をくぐらないといけないのかとも思う。修羅場をくぐらずに成長できる経営者って、いるものでしょうか。

経営者の成長に修羅場は必要か?

藤田:そうはおっしゃいますけど、僕の修羅場なんてまだ全然。この前、USEN-NEXT HOLDINGS社長の宇野康秀さんと対談しましたが、宇野さんのくぐってきた修羅場に比べれば、全然、大したことないですよね。26歳か、27~28歳くらいの頃、一時期、きついときはあったけれど、それ以来、ある種、順調といえば順調にきている。

 僕は結局、髙田さんと同じで、修羅場が来ないようにずっと一生懸命頑張っている感覚です。調子がいいときに、悪くなったときを想定した準備をバーッと仕込んでおく。調子がいいときってどうしても、みんなに褒められまくって春を謳歌したくなるものです。けれど、そこをぐっと我慢して、いいときの利益を減らしてでも、その先のために仕込むということをずっとやってきた感じです。

 今だって、「『ABEMA』さえやっていなければ、もっと利益出るのに」と思っている人は、いっぱいいるはずで、そこに文句を言わせないのは、創業者だから、というのは多分にあると思う。髙田さんだって、創業家出身だからそういうところですごく強いのだと思う。

髙田:うちは、上場もしていないですから。僕が長崎で今、着手している、サッカースタジアムを軸とした複合施設の構想も、かなりチャレンジングで、上場していたら絶対に許されないと思う。藤田さんとはレベルは全然違うかもしれないけれど、そんなところで同じ匂いを感じるというか、親近感を勝手に抱いています。

 藤田さんの経営には、個人的に、すごく学ばせていただいています。

オンライン会議アプリを介して、藤田社長に質問する髙田社長(スクリーンショット撮影:稲垣純也)
オンライン会議アプリを介して、藤田社長に質問する髙田社長(スクリーンショット撮影:稲垣純也)

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