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今回は「危ない」

 ロジャーズ氏が日本株を買い始めたのは、もちろん日本経済の未来を楽観視しているからではない。コロナ・ショックを受けて、いったん株価が大幅に下落した一方、日本銀行が日本株を対象とする上場投資信託(ETF)を爆買いしているからに過ぎない。ロジャーズ氏は投資スタイルとして、値下がりして割安感が感じられるものに投資することを好む。いったん下がった株価が一時的に回復しても、その後に危機の本番がやって来ると考えている。それでは、本当の意味で経済が回復するまで、何年くらいかかると見ているのか。

 「過去60年間を振り返ると、(不況になっても)通常なら1~2年で回復が見られた。しかし今回は、実体経済が復調するまで、もっと時間がかかりそうだ。株式市場では今、盛り上がっているところもあるが、さらに積み重なる一方の負債が重しとなる」

 「借金に注意しなければいけない。負債が積み上がりすぎると、やがて立ち行かなくなる。日本や米国に限らず、世界経済にとっての重しだ。『今回は(今までと)違う』のではない。過去の危機と違う、ということなどでは決してない。今回は(負債が多いので特に)『危ない』のだ」

 はじけた際のインパクトが大きくなるので、負債の多さに注目すべきとするロジャーズ氏。それでは、どのような企業が勝ち残れるのだろうか。

 「シンプルに負債の少ない企業が生き残るだろう。世界中で今起こっているのは、かなり長い間ビジネスをやってきた企業でさえ、借金を積み重ねてきたため、もたなくなっているという事態だ。創業90年以上になる欧州の有名なバーですら廃業したと聞いた。多くの不況や戦争の時代を生き残ったが、今回ついに閉店に追い込まれた。これも借金をしすぎたからだ」

 「老舗バーの廃業は象徴的な例だが、負債が多い企業は苦しむだろう。いったん乗り切っても、回復の道のりが険しい。自分たちにかかわりのある企業が、負債が少なくて、多額の借金をする必要がないかどうか、注視することだ」