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 日経ビジネスの取材に対し、2019年時点で「2020年にも未曾有の危機が到来する」と予言していた世界的な投資家のジム・ロジャーズ氏。5月25日に日経BPから出版した新刊『危機の時代 伝説の投資家が語る経済とマネーの未来』では、大恐慌からリーマン・ショック、ブラックマンデー、新型コロナウイルスに至るまで、歴史を振り返りつつ、繰り返される危機の本質とどのように行動すべきかを詳細に読み解いている。

 新型コロナウイルスの感染が拡大する中で2020年3月中旬に掲載したインタビュー記事「ジム・ロジャーズ 新型コロナは危機の序章、本番はこれからだ」に続き、5月19日に同氏を再取材した。3回に分けてお届けするインタビュー記事の2回目は、最近の世界経済に対する見方や、日本株以外では何に注目し、投資しているのかなどを聞いた。

(聞き手は広野彩子)

 前回のインタビュー記事で、5月18日に「日本株を買った」と明かしたジム・ロジャーズ氏。それ以外にも、最近になって買ったものがあるという。

 「世界中のほとんどの国で株価が暴落したので、これほどまで下がったら、買いのチャンスが生まれている。人々はまた空の旅を始めるだろうし、ホテルにだってまた泊まるようになる。なくなるわけじゃない。レストランにもまた行くだろう」

 「今が買いか? と聞かれれば、こうした業界には買いのチャンスがある、と答える。私は5月19日に、ロシアの船舶会社の株を買った。いずれ輸送を再開することが分かっているからだ。船舶による輸送ビジネスも、また始まる。普通に考えると、これほどまで叩き潰されたら、買うチャンスがある。日本語の危機は、危険と機会の両方を意味するだろう? それと同じことだ」

 コロナ後の変化を吟味して投資するロジャーズ氏。一方で実体経済を冷静に見つめると、とりわけ米国では失業率が歴史的な高水準に達し、厳しい状況にある。企業倒産も日々、増えている。本格的に、数字として出てくるのはこれからだ。日本も新型コロナ以前から、消費増税の影響もあり、景気が悪化していた。

「世界中で借金が膨れ上がっていることが、次に来る危機のダメージを大きくする」と指摘するジム・ロジャーズ氏(写真:的野 弘路)

米国と日本の経済は最悪になる

 「日本は、すでに膨大な債務を抱えている。そして人口も減少している。事態に対処するためにさらに借金を増やさざるを得ない中にあって、人口は今後もますます減り続けていくだろう。これは、2021年、2022年には経済状況がどんどん悪くなる、ということを意味するだろう。これは意見ではない、簡単な算数だ。債務はどんどん増えている。人口は減っている。だから来年はさらに大きな問題が押し寄せてくる、ということだ。そして2022年には、2021年よりもさらに大きな問題に直面するだろう」

 「この状況は好ましくない。私は日本が好きだ。しかし何が起こるかは目に見えている。現在の事態は、日本経済にとって来年、再来年にさらなる難しい問題を引き起こすだろう。ほかの国の経済も同様だが、米国と日本は最悪だ」