人気漫画『ドラゴン桜2』の担当編集の一人で、ドラマ日曜劇場「ドラゴン桜」でも「東大監修」として脚本を監修している現役東大生の西岡壱誠さん。このたび『東大メンタル―「ドラゴン桜」に学ぶ やりたくないことでも結果を出す技術』を上梓した。
『ドラゴン桜』は、成績の悪い高校生たちが、元暴走族の弁護士・桜木建二の指導で東大合格を目指す「受験スポ根」漫画だが、西岡さんは偏差値35から東大合格を果たした「リアル・ドラゴン桜」。そんな西岡さんに、勉強法について尋ねるシリーズ(前回はこちら)。
高校3年生の1年間、独自の勉強法で偏差値35を65まで引き上げた西岡さん。しかし、その先に「地頭力の壁」があった。普通ならば、「才能がなかった」と諦めてしまうところだが、試行錯誤の末に突破口を見つける。東大に合格した友人たちのノートを見て気づいた、「地頭力を上げる方法」とは? 西岡さんのベストセラー『「読む力」と「地頭力」がいっきに身につく 東大読書』との接点も見えてくる。
今回のテーマは「偏差値65の壁」「思考力の壁」です。西岡さんは、高校2年生のときに「東大を目指す」と決めたものの、高校3年生になった時点で偏差値35でした。それを1年で偏差値65まで引き上げた勉強法について、前回伺いました。センター試験を素材にした問題集を自作して繰り返し解き、基礎を固めたということでしたね。
西岡壱誠(以下、西岡):はい、そうです。
しかし、基礎固めだけでは東大の2次試験を突破することができず、浪人生活に入ります。ここで直面したのが「偏差値65の壁」であり、「思考力の壁」ということでした。
西岡:そうです。論述式の問題が大半を占める東大の2次試験で高得点を取るには、思考力が必要で、ちょっと乱暴かもしれませんが、全国模試で偏差値65を超えるかどうかはひとつの目安になると思います。
でもまあ、要するに高校3年生のときの僕は「基礎は固まったが、応用がイマイチ」だったということです。結局、1浪ではこの壁を越えられず、2浪に突入しました。
「偏差値65の壁」「思考力の壁」を乗り越えるには、一体、どんな勉強をしたらいいのでしょう。西岡さんはその壁を乗り越えて、東大合格を果たしたわけで、ぜひ教えてほしいところです。
西岡:うーん……。そこをちゃんと言葉にしようとすると、本を2冊、3冊書けるくらいの話になっちゃいます。実際、僕はそれをテーマにずっと本を書いてきたわけですし。『東大読書』も『東大メンタル』も。
まさに「地頭力」の問題ですよね。「偏差値65の壁」「思考力の壁」は「地頭力の壁」とも言い換えられると思います。
「地頭力」って、みなさんは一般に、後天的には引き上げられないと考えていますよね。確かに、生まれながらの頭の良さがないと越えられないように「思える」壁が、偏差値65くらいのラインにはあって、そこで多くの人が「自分には才能がないから」と、諦めてしまうのだと思います。
けれど、偏差値35からスタートした僕は、そこでどうしても諦められなくてあがいて、2浪はしたけど、結果として後天的に「地頭力の壁」を突破できたのだと思っています。そうでなければ、東大には合格できないはずだと思うので……。
だから僕は、「地頭力の壁」の前で「自分には才能がないから」と諦めてしまいそう人たちに、不遜かもしれないけれど「才能じゃないよ! 諦めなくていいんだよ!」と、主張したくて、本を書いてきたんです。

1996 年生まれ。偏差値35から東大を目指すも、2年連続不合格。3年目に勉強法を見直し、偏差値70、東大模試で全国4位になり、東大合格を果たす。東大入学後、人気漫画『ドラゴン桜2』(講談社)に情報提供を行う「ドラゴン桜2 東大生プロジェクトチーム『東龍門』」のプロジェクトリーダーを務め、ドラマ日曜劇場「ドラゴン桜」の脚本監修(東大監修)を担当。2020年に株式会社カルペ・ディエムを設立、代表に就任。偏差値35から東大合格を果たしたノウハウを全国の学生や学校の教師たちに伝えるため、全国6つの高校で「リアルドラゴン桜プロジェクト」を実施、高校生に思考法・勉強法を教えているほか、教師に指導法のコンサルティングを行っている。『「読む力」と「地頭力」がいっきに身につく 東大読書』(東洋経済新報社)など著書多数
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