西岡:水泳を覚えるにはまず水に飛び込むこと――。

 龍山高校・特別進学クラスの英語講師・川口洋先生のこのセリフを読んで僕は、「ああ、自分は今まで、陸の上で泳ぐときのフォームを練習するような勉強ばかりをしていたんだな」「だから、成績が伸びなかったんだな」「教科書や参考書を読むだけではダメなんだな」と、気づけたのです。

 そこから、アウトプットを意識した勉強に切り替えたら、高校3年生の1年間で偏差値65まで伸びました。

それもすごい。“爆上げ”です。勉強法の何を変えたのですか?

西岡:徹底的に基礎固めです。アウトプット重視で基礎を反復練習しました。

 教材に使ったのは、センター試験の過去問です。センター試験の過去問は、高校生が基礎を固めるのにベストの教材です。これは僕だけの意見ではなくて、『ドラゴン桜2』の編集に参加した東大生十数人の見解が一致したところでもあります。(前回参照)。

性格が悪いと、成績が伸びない

 高校2年生のときの自分の勉強法を振り返ったときの反省点として、アウトプットの欠如に加えて、もう一つ、使っていた参考書のレベルが、自分の実力と比べて高すぎた、ということがありました。自分の現状を客観的に正しく把握する「メタ認知力」が足りなかったのです。

 メタ認知力については『東大メンタル』にも詳しく書きましたが、学力を上げたければ、メタ認知力は決定的に大切です。そしてメタ認知力を高めるには、素直で謙虚でなければいけません。つまり、性格がよくないといけません。

 つまり、僕の学力が伸び悩んだのは、「性格が悪かった」からなんです。

 なかなか自分では認めにくいことですが、この事実を受け入れることが、僕が偏差値35から東大に合格するまでの道のりにおいて非常に重要なポイントだったと思います。

次ページ 成績を“爆上げ”させた「自作の問題集」