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リーマン・ショックを予見し、2019年時点で「2020年にも未曾有の危機が到来する」と明言していた世界的な投資家のジム・ロジャーズ氏。5月に日経BPから新刊『危機の時代 伝説の投資家が語る経済とマネーの未来』(電子書籍は5月1日から先行配信開始)を出版するロジャーズ氏は、新型コロナウイルス問題と深刻化する経済危機をどう見ているのか。リーマン・ショック、ブラックマンデー、世界恐慌など過去の危機の教訓、逆境における投資チャンスの見つけ方、混迷する世界の行方などについて詳しく述べた同書の一部を抜粋し、本記事では「危機の際にどのように考えて行動すべきか」に関するロジャーズ氏の見方を紹介する。

(聞き手は広野彩子、小里博栄、山崎良兵)

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、世界経済が大混乱し、各国の主要市場で株価が暴落した。企業倒産や失業者の増加に対する懸念が急速に高まっている。

 私は2019年から「2008年のリーマン・ショックをはるかに超える危機が迫っている」と警告してきた。それが今、始まろうとしている。

 強調しておきたいのは、新型コロナウイルスはあくまできっかけに過ぎないことだ。経済危機が来ること自体は、以前から見えていた。リーマン・ショック時をはるかに上回る世界的な債務の増加や米中の貿易戦争を背景に、経済が減速する傾向は鮮明になっていた(編集注:新型コロナ問題に関するロジャーズ氏の見方は3月18日付の記事「ジム・ロジャーズ 新型コロナは危機の序章、本番はこれからだ」に詳しい)。仮に新型コロナの問題がいったん落ち着いて一時的に株価が反転したとしても安心できない。経済危機の本番はむしろその後にやってくるはずだ。

「リーマン・ショックを超える危機が迫っている」と2019年に予言していたジム・ロジャーズ氏(写真:的野 弘路)

 それでは危機の際にどのように考えて行動すべきなのか。まず重要なのは危機に対するあなたの認識を変えることだ。危機は一定の頻度で必ず起きる。そして、あなたが今正しいと信じている常識の多くは、15年後に間違っている可能性が高い。

 歴史を振り返ってほしい。1930年に誰もが正しいと思っていた常識は、1945年にどうなっていたのか。第二次世界大戦はすべてを変えた。つまり世界は常に変化している。だから私は、誰もが歴史を勉強すべきだと考えている。