ワクチン接種は案外順調に進むとみています
峰:では、あくまで推測ですが、私はワクチン接種に関しては、今後、けっこううまいこと進むのではないか、と思っています。
えっ、なぜですか。……いや、嬉しいご意見なんですが、ちょっと意外で。
峰:まず、米国のワクチン接種が山を越えて、一方でワクチンの増産が米国でもEU圏内でも順調に進んでいますので、これから域外への輸出量が増えてくる。それを受けて、供給が急増すると思われます。「ゴールデンウイーク明けくらいからどんどん日本に入ってくる」という話も、すでに公式に出ています。
※河野太郎大臣のブログによると、ゴールデンウイーク明けには 1000万回分/週で輸入とのこと。こちら。
※厚生労働省のウェブサイト「新型コロナワクチンの供給の見通し」
次に、昨年末に新書を出した時点で案じていた反ワクチンなどの「デマ情報」をはじめとするワクチンに否定的な情報の流通が、現状では沈静化していること。ウェビナー(こちら)をやったときは、結構な大手メディアまでがおかしな情報を出していましたよね。医療関係者などからの抗議や反論、そして地道な情報提供がなされ、そしてなにより、肝心のワクチン、特にmRNAワクチンの実績が素晴らしく、予想外の副反応が起きていないことが大きい。
リアリティがある悪い噂の立てようがない。
峰:日本でワクチン接種がモタモタして本格的に始まらない間に、デマ勢力が自壊してしまった感じです。
「変異ウイルス」対策への誤解
変異ウイルスの出現もありましたが、これは「新型コロナの変異は『当たり前』の話、騒げば騒ぐだけ損」ということでよろしいですか。
峰:はい。mRNAワクチンの有効性は論文で確認されましたし、我々がとるべき予防手段はこれまでとまったく変わりません。前にもお話ししましたけれど、ウイルスは「何もしなくても、そこら辺の空間で勝手に変異する」わけではないですよね。
え? あー、そうそう、増殖するときに変わる、つまり「子どもが生まれる」ときに変異が起こるんでした。
峰:その増殖はどこで起きますか。
……ヒトの細胞の中でしたよね。
峰:ということは、ウイルスにやっかいな変異を起こさせないためにはどうすればいいですか?
感染者を減らせば、変異が起きることも抑えられる?
峰:そうです。増えるときにしか変異できないのだから、増やす機会を減らせばいい。
つまり、「変異ウイルスだ、ワクチンが効かないかも(効くんですが)!」と騒ぐのではなく、 「ワクチンで感染者を抑えれば、変異も自然に起こりにくくなる」と理解するのが正しいんですよ。
そして、それよりも大事なことは、基本的な予防策をとって接触を抑制すれば、変異ウイルスだろうがそうでなかろうが関係なく防げる、ということです。
「変異が、変異が」と毎日目にすると、ワクチンで大丈夫かと不安になるけれど、むしろ、こじらせないうちにさっさとワクチンを、という話なんですね。これも正しく認識すれば、接種への追い風になる話だと。
峰:はい。そして、不謹慎ではありますが、「第4波」が現れたことで、「もう本気でなんとかしないと。腹くくって終わらせたい」と、危機感、うんざりした気分というのが、ワクチン接種を後押しするのではないかと思います。
もたついている間に接種への環境が整ってきた
峰:多くの方は、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置、自粛、検査と隔離などの基本予防策も、あくまでもウイルスの流行を防ぐ防波堤のようなものであって、根本的な解決策ではないことに気づいたと思うのです。ワクチンは人の状態を免疫がある状態に変えますので、これは根本的な解決策につながる、という意味においても別格です。そこに気づいている人が増えているのはとても良い傾向だと思っています。
ツイッターで「ワクチン打ちにアメリカに行きたい」というつぶやきを見ましたっけ。
峰:ですよね。飲食店やイベントをはじめとして、経済をより自由に回すには、結局ワクチンの接種率を上げていくしかないんだ、という理解と、現状へのうんざり感が、接種への追い風になるんじゃないかと。
そうお聞きしていると、案外、日本はいろいろ運がいいような気がしてきました。
峰:でしょう? 実はそうなんですよ。
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