
2020年5月27日掲載の、米国在住のウイルス免疫学者、峰宗太郎先生に「緊急事態宣言解除『現状で確実に言えること』を専門家に聞く」ことから始まった本シリーズ、あれからほぼ1年が過ぎました。昨年末には連載をまとめた新書を出すこともできました。ご愛読に深く感謝いたします。
さて、残念ながら新型コロナ禍はまだ収束していない、どころか、年末年始の第3波以上の「第4波」の到来がまさに始まっています。
いったいいつまで続くんだ――。「うちの国は、どうにもこうにもうまくいっていないんじゃないか」という気分が自分の中にもあり、そういう意識でニュースを見ていると、ますますイライラが募ってくる。
・緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が何度も「場当たり的」に出され、効果が薄れている。
・先進国なのにワクチンの接種率が低い。接種の仕組みも整っていないらしい。
我々の中にこうした不安、不信がわだかまりつつあるのもやむを得ないと感じます。
だからこそ今、「現状で確実に言えること」を、改めて峰先生に聞いてみたいと思いました。
不安や怒りから曇ってしまった眼鏡を拭き直し、クリアな視界でゴールデンウイークを過ごし、ひと休みして冷静に(最近は「chill(チル)」とか言うらしいですね)なれたら、と思います。それではどうぞ。
(ちなみに峰先生インタビューの前回はこちら→「ワクチン接種開始、デマ情報へのささやかな対策」)
これって「うにゃうにゃ」の「う」ですよね
日本にとっても世界にとっても、新型コロナウイルス(正しくは「SARS-CoV-2」)との戦いは未知のことが多い。対策が緩すぎるかキツすぎるかもやってみないと誰にも分からない。なので、熱すぎずぬるすぎずのいい感じの湯加減をつかむために、とにかく試してみて、マズそうだと分かったらさっとやめる、その繰り返し、「うにゃうにゃ試す」ことが必要――と、峰先生は昨年おっしゃっていました。
言われてみればなるほどそうだなと思って、新型コロナ対策のドタバタも冷静に受け止めないと、と自分に言い聞かせてきたんですが、第4波と3回目の緊急事態宣言で、いよいよ「本当にこれで大丈夫なのか?」と感じるようになりまして。
峰 宗太郎先生(以下、峰):はい、なるほど。
で、峰先生から見て、日本のこの1年間は「うにゃうにゃ試す」ことができていたんでしょうか。というか、これが「うにゃうにゃ試す」ことだったんでしょうか。感染拡大防止で名を上げた台湾、韓国、ニュージーランド、ワクチンの接種が絶好調のイスラエル、そして英国、米国に比べたら、現状は「行き当たりばったりの積み重ねの結果」のように思えるんですけれど。
峰:現状そのものをどう評価するかというより、これまでの経緯を評価するとどうなんだ、ということでいいですか。
はい、まずそこから入らないと、このモヤモヤした気持ちの行き場が見つからなくて。
峰:Yさんのモヤモヤ解消になるかどうか分かりませんが(笑)、自分の評価としては「うにゃうにゃ」の「う」で止まっちゃったかな、と思います。
うにゃうにゃの「う」?!
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