新型コロナウイルスの感染拡大によって、マスクは私たちの生活に欠くべからざるものになった。第4回で紹介したように、島精機製作所のホールガーメント横編機で立体的に編み上げたニットマスクも、オーガニックコットン、シルク、銀繊維など、さまざまな素材のものが販売されている。

50回洗っても抗菌性が持続。肌にやさしい新素材マスク

立体的に編み上げて製造するホールガーメント横編機は糸や繊維の無駄が出ない。新型コロナ感染症が拡大する中、小型のホールガーメント横編機を使って多くのマスクがつくられている(写真提供=島精機製作所)
立体的に編み上げて製造するホールガーメント横編機は糸や繊維の無駄が出ない。新型コロナ感染症が拡大する中、小型のホールガーメント横編機を使って多くのマスクがつくられている(写真提供=島精機製作所)
環境問題にも積極的に取り組む島正博会長(写真=生田将人)
環境問題にも積極的に取り組む島正博会長(写真=生田将人)

 なかでも注目したいのが、バイオプラスチックを開発・製造するベンチャー企業「Bioworks(バイオワークス)」(京都府精華町、今井行弘社長)が販売する「Bio Face(バイオフェイス)」だ。

 バイオフェイスは、ポリ乳酸(PLA)というバイオプラスチックの糸で編まれている(伸縮性を持たせるため、ストラップ部分に一部ポリウレタンとナイロンが使われている)。ポリ乳酸は100%植物由来で、なおかつ完全生分解性という性質を持つ。地球環境に負荷をかけないサステナブルな素材として期待される“夢のプラスチック”なのだ。

 メリットはそれだけではない。ポリ乳酸の糸は、手術のときの縫合糸として使用されるほど安全性が高い。人間の肌と同じ弱酸性で抗菌作用もあり、50回洗っても抗菌性が持続するという。実際に手に取ってみると、ふんわりとした風合いが肌に心地良い。

サステナブルな素材として注目されるポリ乳酸の糸(写真提供=TBM)
サステナブルな素材として注目されるポリ乳酸の糸(写真提供=TBM)

 バイオワークスを傘下に持つTBM(東京都中央区、山崎敦義社長)の執行役員CMO(最高マーケティング責任者)でバイオワークスの取締役も務める笹木隆之氏は、新型コロナの感染拡大を受けて、昨年2月、バイオフェイスの企画に着手したと話す。

ホールガーメント横編機で編まれたバイオフェイス(写真提供=TBM)
ホールガーメント横編機で編まれたバイオフェイス(写真提供=TBM)

 「皮膚科の医師からマスクによる肌荒れに悩む人が増えていると聞き、以前から開発を進めていたポリ乳酸の繊維でマスクをつくることを考えました。ポリ乳酸は、肌への刺激が少なく、人体にも環境にもやさしい。また、ホールガーメント横編機で編むことで、付加価値をさらに高めることができました。おかげさまで、シリーズで10万枚を販売し、今もコンスタントに売れています」

 ホールガーメント・マスクなら、縫い目が肌にあたってチクチクする心配もない。不織布マスクが肌に合わない敏感肌の人は、試してみる価値があるのではないだろうか。

続きを読む 2/3 不織布マスクがプラごみに。深刻化する環境汚染

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