アメリカの主要メディア・コングロマリットはストリーミング市場に相次ぎ参入し、「ストリーミング・ウォー」の様相を呈し始めている。ハリウッドの映画界やエンターテインメントのみならず、スポーツやニュース番組も巻き込む、メディア業界の一大トレンドだという。ネットフリックスの加入者は世界で2億人、Disney+(ディズニープラス)も1年半で1億人を突破した。このたび『ネットフリックス vs. ディズニー』(日本経済新聞出版)を執筆した大原通郎氏に最新事情を聞いた。

アメリカの主要メディア・コングロマリットは相次ぎストリーミング市場に参入を始めた(写真:Jacobs Stock Photography Ltd / Getty Images)

本書のテーマは、ストリーミング配信(インターネットを使った動画や音声配信)です。特にネットフリックスとディズニーを大きなプレーヤーとして描いていますが、現在、この両社はどんな状況ですか?

大原通郎氏(以下、大原氏):3月9日にウォルト・ディズニーが、同社のストリーミングサービスである、ディズニープラスの加入者を発表したのですが、全世界で1億人を突破しました。2019年11月に開始したので、1年半足らずの間に1億人に達したことになります。月額は7ドルなので、毎月7億ドルが入る計算です。

 一方、ネットフリックスは1月初めに世界の加入者が2億人を突破しました。ネットフリックスのストリーミング開始は07年、1億人到達は17年なので、10年かかっています。勢いからするとディズニーに軍配が上がります。

ディズニーの追い上げがすごいですね。

大原 通郎(おおはら・みちろう)
デジタルメディアウォッチャー。 1954年生まれ。早稲田大学卒業後NHK入社。BS放送の発足に参画した後、TBSに移籍。ニューヨーク特派員など海外ニュース記者を務める。その後CSデジタル放送の立ち上げなどに携わる。14年、TBS退職。以後、海外のメディア動向の調査・執筆を続けている。メディア関連審議会の委員等歴任。

大原氏:ディズニーが本気を出したことは、ストリーミングビジネスに大きなインパクトがあると思います。加入者に勢いがあるのはアジアとりわけインドなんだそうです。

 インドには、ホットスターというストリーミング配信の会社があり、ディズニーの傘下です。ホットスターは、もともと21世紀フォックスが持っていましたが、21世紀フォックスをディズニーが買収したため、ディズニーのものとなりました。インドの人口は13億人と規模では世界第2の映像市場です。ホットスターの加入者は現在1億人となっています。

インド市場で両者が激突

すると、ディズニープラス加入者の今後の成長センターはインドということですか?

大原氏:はい。20年4月からはディズニープラスとホットスターの合わせ技でサービスを展開するようになりました。今回、具体的な数字を出していませんが、これからもインドはディズニープラスの加入者増に大いに貢献するといわれています。 

 今年初め、アメリカデジタルTVリサーチという調査会社が、ストリーミング市場に関して将来予測を出しています。

 まず、26年までの5年間にストリーミング市場はさらに拡大する。サービス別に見ると、ディズニープラスの伸びが一番大きく、26年時点で2億9400万人。これに対し、ネットフリックスはこの時点で2億8600万人と5年後にディズニープラスに抜き去られるという結果を出しています。

逆転しますね。

大原氏:はい。要因はやはりインド市場の攻防です。ほかの調査会社も、ディズニープラスの勢いが上回ると予測しています。ですから今後5年間で、ネットフリックスは追い抜かれる可能性が高い。

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