転んでも立ち上がり、体当りをつづける人が成功する

 多くの人々は、実行に移す前に頭で“これから”を割り切ろうとする。個人の頭脳で計れる未来など、歴史学的にはほとんどないのにもかかわらず、である。やってみなければわからないのが、未来なのだが……。

 「実地を踏んで鍛え上げない人間は、でくの坊と同じ事だ」(夏目漱石著『明暗』)

 転びながらも、その都度立ち上がり、体当りをつづけていく人が、不思議なくらい成功者となっている。これは本書に集めた、歴史評伝の実例研究(ケーススタディー)である。

 右か左か──同時には存在し得ない失敗した自分と、成功したかもしれない自分を比較してみても、意味はない。

 「あの時、決断していればよかったのに──」と、後悔するよりも、その後、自らが何をどのように行動したか、を問いかける方が人生には大切である。重要な意思決定を決断できず、先送りすれば、結局は何も残らない。

 避けて通れない「死地」に追いつめられたならば、まずは細心の注意を払って、より以上の失敗を起こさないように最善をつくし、遭遇した危機、失敗と付き合い、これを何とか乗り越える工夫をして、生きていくしか方法はない。

 ただ、限りある人生を輝くものにすることを考えたとき、最善の決断を行う努力をしても、失敗に足をとられていては、その先の成功にたどり着くのに時間がかかってしまう。

「ご自身を想定しつつ、本書に登場する起業家の危機突破力、脱出方法、逆転の方策を学んでいただきたい。本書は先に刊行し、ご好評いただいている『<a href="https://www.amazon.co.jp/dp/4296104284" target="_blank">歴史の失敗学 25人の英雄に学ぶ教訓</a>』の姉妹編です」と語る加来耕三氏
「ご自身を想定しつつ、本書に登場する起業家の危機突破力、脱出方法、逆転の方策を学んでいただきたい。本書は先に刊行し、ご好評いただいている『歴史の失敗学 25人の英雄に学ぶ教訓』の姉妹編です」と語る加来耕三氏

 「10回、尋ねるほうが、迷うよりはまし」というユダヤの格言もある。

 先人の失敗、危機管理に学び、同じ蹉跌(さてつ)を踏まないように、予防することは重要であるに相違ない。

 本書には、「渋沢栄一」「安田善次郎」「浅野総一郎」「古河市兵衛(ふるかわ・いちべい)」「三野村利左衛門(みのむら・りざえもん)」「広瀬宰平(ひろせ・さいへい)」「伊庭貞剛(いば・ていごう)」「大倉喜八郎」「岩崎弥太郎」「岩崎弥之助」に、目次にない主要人物「小栗上野介忠順(おぐりこうずけのすけ・ただまさ)」を加え、11人の企業創業・継承者が登場する。

人が生きていくうえでの原理・原則は変わらない

 読者の中には、「DX」(デジタル・トランスフォーメーション)の現代、明治・大正・昭和の経営者に、何をいまさら、と学ぶ意義を見出だせない方がいるかもしれない。

 が、歴史はくり返す──なぜならば、人が生きていくうえでの原理・原則は変わらないからだ。

 「DX」はデジタルとリアルの融合でしかない。生身の人間が根本であるかぎり、失敗の本質において、過去も現在も未来も変わることはない。

 変化するのは、これまで物質的な豊かさを追い求めてきたものが、これからは安全と幸福を目指す方向に、大きく軸足を移そうとするだけのことである。

 おそらくこれから先、大きく伸びるビジネスのヒントも、ここにあるに違いない。

 ぜひ、産業立国日本を築いたほどの人々でも、最善をつくしながらやってしまった失敗、遭遇してしまった唐突な苦難に、読者ご自身を想定しつつ、その危機突破力、脱出方法、逆転の方策を学んでいただけたならば、これにすぎたる喜びはない。

日経BPから『渋沢栄一と明治の起業家たちに学ぶ 危機突破力』を刊行しました!

 先の見えない今、加来耕三氏が、幕末・明治に活躍した渋沢栄一ほか、三菱や三井、住友などの財閥を興した不屈の起業家10人にフォーカス。歴史ファン、コロナ禍で厳しい状況に置かれている事業主、先行き不安なビジネスパーソンらに向けて、希望の気持ちにスイッチを入れてもらうべく筆を執りました。

 「渋沢栄一」「安田善次郎」「浅野総一郎」「古河市兵衛」「三野村利左衛門」「広瀬宰平」「伊庭貞剛」「大倉喜八郎」「岩崎弥太郎」「岩崎弥之助」の、苦悩もありながらの痛快な生き様から、危機を突破する力を学べる一冊です。

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