3月8日は国連が定めた「国際女性デー」。2022年は「持続可能な明日に向けて、ジェンダー平等をいま」をテーマとして掲げている。現代社会の中で「女性である」ことは、何が課せられていて、どう感じているのか。実際に女性の声を集めたプロジェクトから、それが見えてくる。

 「彼女たちは、話す必要があった。正確には、話を聞いてもらう必要があった」

 ウクライナ出身の映像ジャーナリストのアナスタシア・ミコバと、フランス生まれの世界的写真家で映像監督のヤン・アルテュス=ベルトランは、ある作品で女性たちにインタビューをおこなった際に、堰(せき)を切ったように語りだす姿を見て、女性たちの話を聞くべきだと悟った。

 「ウーマン・プロジェクト」を立ち上げた2人は、世界50の国・地域で、実に2000人へのインタビューを実施し、映画と書籍にまとめた。フランスで刊行された書籍『Woman』はおよそ60人のインタビューを掲載している。その日本語訳である『話すことを選んだ女性たち 60人の社会・性・家・自立・暴力』(日経ナショナル ジオグラフィック社)が3月上旬に発売となった。そこから、「女であること」について語った4人を紹介する。

ヤン・アルテュス=ベルトラン(左) アナスタシア・ミコバ(右)
ヤン・アルテュス=ベルトラン(左) アナスタシア・ミコバ(右)
(c) Peter Lindbergh

アナスタシア・ミコバ
ウクライナ出身のジャーナリスト、映画監督。不法移民、臓器売買、代理出産など社会的・人道的なテーマに焦点を当てた作品に取り組む。空から見た地球を紹介するテレビシリーズ『Vu du ciel』を皮切りに、ヤン・アルテュス=ベルトラン監督とのコラボレーションが続いている。2015 年の映画『Human』ではチーフ助監督、2020 年の映画『WOMAN』では共同監督を務めた。

ヤン・アルテュス=ベルトラン
フランス生まれの写真家、映画監督。航空写真の第一人者で、60冊以上の著書がある。1999年に刊行された作品集『Earth from Above』は全世界で300万部以上のセールスを記録し、同名の写真展は日本でも開催された。2005年に環境問題への関心を高めるためのNGO「グッドプラネット」を設立。2009年には国連親善大使に任命され、地球の現状を描いた初のドキュメンタリー映画『Home 空から見た地球』を監督した。この作品は世界で6億人に視聴されている。過去に『365日空の旅:かけがえのない地球』『空から見た地球――21世紀への遺産』『空から見たパリ』などの写真集が日本で出版された。

 「ウーマン・プロジェクト」は、国も社会も立場も考え方も異なる多くの女性から話を聞くことで、現代社会で「女として生きるとはどういうことか」を見通す試みだ。一つとして同じではない声を重ねることで、日々の制約、社会的な苦境、暴力被害、自立、性、結婚制度、出産などにまつわる問題や葛藤が見えてくる。

 例えば、振る舞いや化粧といった女性らしさへの疑問、中学校で退学を余儀なくされたこと、家族の暴力、児童婚からの逃亡、男性の庇護(ひご)下にあるため自立できないこと、ビジネスで成功すること、大統領として立つこと、家族への愛、パートナーへの愛、愛せない家族、離婚できない社会、女性として14人目のノーベル文学賞の受賞、戦闘員としての過去との混乱、中絶、夫を亡くすと全財産を奪われ家を追われること、美の追求、容姿への嘲笑、性の自由・・・・・・

 プロジェクトをまとめた書籍『話すことを選んだ女性たち 60人の社会・性・家・自立・暴力』から、4人の声を紹介する。

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