全3192文字

 「ご来店、お食事頂き、食べログ投稿をして頂きたいです」「居酒屋ですと(5点満点中)3.5以上、すし店ですと4.0以上でお願いしております」という。見返りは1回の投稿につき1万円で、飲食代は2人まで無料。「最大限おもてなしさせて頂きます」とのこと。

 要するに、食べログに「やらせレビュー」を書き込むよう、依頼してきたのだ。

 AKIに連絡してくるのは、一般に口コミ代行業者と呼ばれる人たちだ。レビューを投稿する「レビュアー」たちに飲食店が直接金銭を支払ってやらせを依頼することはほぼない。発覚すれば食べログ側から制裁を受け、店の評判が地に落ちる。このため飲食業界の裏側では、口コミ代行業者を前面に立ててリスクを回避する分業体制が確立している。

飲食店選びで食べログは大きな影響力を持つ(写真:PIXTA)

 不正を働いてまで高評価を得ようとする飲食店が存在するのは、レビューの良しあしが死活に直結するからだ。SNSの利用者を対象にした三菱UFJリサーチ&コンサルティング(MURC)のアンケート調査によれば、サービスや商品のレビューが良くなかった場合に「購入を取りやめる」あるいは「購入を取りやめることの方が多い」とした人は、合わせて76%を占めた。

 最近まで東京都内のレストランで店長を務めていた飲食業コンサルタントの川崎理明氏も食べログの評価に振り回された一人だ。「食べログで2年前にレビューの集計方法が変わったため、勤務していたレストランの総合得点が突然下がったことがあった。その影響でお客さんからの予約はぴたりと止まった」と振り返る。川崎氏は食べログ以外のグルメサイトへの依存度を高めることで苦境を乗り切ったが、わずかな点数の変化に業績が大きく左右されるストレスから逃れようと、禁断のやらせに手を出す人がいても不思議ではない。

良い口コミ代行業者と悪い業者

 口コミ代行業の実態に迫ろうと、自らも食べログのレビュー対策を手掛ける人物に接触した。この人物によると、口コミ代行業者には筋の良い業者と悪い業者が存在する。

 「筋の良い業者は事前に依頼主である飲食店から課題をヒアリングしている。また実際にレビュアーに店を利用させることで、真実味のある感想を書かせている。レビューが終われば報告書を店側に提出する。料金はレビュー1件当たり1万5000〜2万円が相場だ。一方、筋の悪い業者はそのいずれもしていない。料金はレビュー1件につき2000〜3000円と安いが、質は低い」

 同じ穴のムジナとはいえ、口コミ代行業ではサービス品質の面で二極化が進んでいるという。