しかも、日本が「日本ファースト」的な行動を取り始めたら、アメリカも中国もロシアもおそらく怒ると思います。なにゆえ突然に勝手な行動を取るのだと。周辺国のすべてが日本の軍事大国化を望んでいないのです。すなわち経済的にも外交的にも、最も非現実的で破滅的な選択肢が「日本ファースト」だと思います。
これからの日本が選択すべき方向について、率直に考えてみると、現実的には次の方向しかありません。
現実的には、「今まで通り」しかない
みずからは核保有を行わず、アメリカの核の傘に入り、仲良くやっていくという方向です。それは今までの路線そのものです。言い換えれば、現在の日本が世界で生きのびていくための新たな選択肢は存在しない、というのが現実です。このことをしっかりと受け止めていくしかないのです。
では、これからどうやってアメリカと向き合っていけばいいのか。政治や外交そして経済や文化などを含め、幅広く日米間の交流を深める努力が求められます。
(次回に続く)
世界の今の見え方が変わる!
これまでに読んだ本は1万冊以上、訪れた世界の都市は1200以上。「現代の知の巨人」と呼ばれる出口治明さんが、「教養としての地政学」を、分かりやすく楽しく説き明かします。
地政学とは何か――?
ナチスも利用した「悪魔の学問」ではない。
ビジネスにも不可欠な「弱者の生きのびる知恵」である。
◎出口治明が語り下ろす、目からウロコのエッセンス。
≫地政学はなぜ必要か?
平たくいえば「国は引っ越しできない」から。
≫「陸は閉じ、水は開く」
―シュメール人のことわざに地政学の萌芽があった。
≫「どうすれば、サンドイッチの具にならずに済むか、という問題」をめぐって、
世界史の権謀術数は繰り広げられてきた。
≫海上の覇権争奪戦に関係するシーレーン(海上交通路)において、
「鍵をにぎるのが半島や海峡」である。
≫「人間の真の勇気はたったひとつである。現実を直視して、それを受け入れる勇気である」
―ロマン・ロランの名言から、日本の今を紐解く。
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