「知の巨人」と呼ばれる出口治明さんが、「教養としての地政学」を、分かりやすい言葉で説き起こすシリーズ連載。

 第1回の前々回と、第2回の前回は、「地政学」の定義と枠組みを振り返った。

 今回からは、日本が今、国際社会のなかで置かれている現実を、出口さんが地政学的に解説する。日本列島の地理的な特殊性に、経済規模などを加味すると、「日本が実効性のある軍事同盟を結べる国は、世界に3つしかない」と喝破する。その3カ国とはどこ? そして、なぜ?

 出口さんの新刊『教養としての「地政学」入門』の刊行を記念した企画。

 日本は島国です。そのため陸上の国境で接している隣国はありません。海を経て接しているのは、太平洋を挟んで遠い向こう側にあるアメリカとカナダを除けば、ロシア、北朝鮮、韓国、中国、台湾という、四カ国とひとつの地域です。

 このうち、北朝鮮とは正式の国交が成立していません。加えて残りすべての国や地域と領土上の懸案を抱えています。ロシアとは北方領土、韓国とは竹島、中国や台湾とは尖閣諸島です。

 日本の置かれている現状は、住宅地に家を買ったけれど、向こう三軒両隣との境界線争いを同時に背負い込んでしまった。そういう状況です。これでは落ち着けませんよね。

出口治明(でぐち・はるあき)
立命館アジア太平洋大学(APU)学長。1948年、三重県生まれ。京都大学法学部を卒業後、1972年、日本生命保険入社。企画部や財務企画部にて経営企画を担当する。ロンドン現地法人社長、国際業務部長などを経て2006年に退職。同年、ネットライフ企画を設立し、代表取締役社長に就任。08年4月、生命保険業免許取得に伴い、ライフネット生命保険に社名を変更。12年に上場。社長、会長を10年務めた後、18年より現職。訪れた世界の都市は1200以上、読んだ本は1万冊超。主な著書に『生命保険入門新版』(岩波書店)、『仕事に効く教養としての「世界史」Ⅰ・Ⅱ』(祥伝社)、『全世界史(上)(下)』『「働き方」の教科書』(以上、新潮社)、『人生を面白くする本物の教養』『自分の 頭で考える日本の論点』(以上、幻冬舎新書)、『哲学と宗教全史』(ダイヤモンド社)『人類5000年史Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ』(ちくま新書)、『0から学ぶ「日本史」講義(古代篇、中世篇、戦国・江戸篇)』『世界史の10人』(以上、文藝春秋)などがある。
続きを読む 2/4 隣国すべてと火種を抱える日本は、異常である

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