パワハラ上司の下で働いたとき、精神的に強いのはどんな人か。柳澤さんから前回、そんな問題提起がありました。
「罵詈雑言(ばりぞうごん)を浴びるような環境で育ち、叱られ慣れている人のほうが、パワハラを受けても平気でいられるのではないか」。そう主張する人もなかにはいて、理屈として成り立たないわけでもない。岸見先生はどう考えられるか、と。
岸見:親が子どもに対等に接して育てれば、その子どもは大人になってからパワハラに遭っても、病むことはありません。そういう人は、「この上司は私に罵詈雑言を吐くけれど、所詮、そういう人なのだ」と、余裕を持って冷静に上司を見ることができるからです。
柳澤:絶対的な自信があるわけですね。
岸見:そうです。
逆に、上司から罵詈雑言を浴びて病んでしまうような人の弱さとは、何が原因なのでしょうか。
岸見:それを「弱さ」と呼ぶのは違います。
それでは、暴言を受け続けたときに、耐えられる人と耐えられない人がいるのをどう説明すればいいのでしょう。その違いは何なのでしょう。
岸見:暴言を吐く人がなぜそうするのかが分かっているかどうかです。親に民主的に育てられた子どもは、暴言を吐く人の心理が分かるので、病むことがありません。
柳澤:パワハラ上司のことも、客観的に見られるというわけですね。メタ認知が発達している。
岸見:そうです。
それでいいのでしょうか。


カヤックCEO
1974年、香港生まれ。慶應義塾大学環境情報学部卒業後、会社勤務を経て、98年、学生時代の友人と共に面白法人カヤックを設立。鎌倉に本社を構え、オリジナリティのあるコンテンツをWebサイト、スマートフォンアプリ、ソーシャルゲーム市場に発信する。ユニークな人事制度やワークスタイルも発信。著書に『面白法人カヤック会社案内』『鎌倉資本主義』(ともにプレジデント社)、『アイデアは考えるな』(日経BP)、『リビング・シフト 面白法人カヤックが考える未来』(KADOKAWA)、『面白法人カヤック社長日記 2015年-2020年愛蔵版』(Kindle版)などがある。
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