いずれ、日本企業も決断しなければいけなくなることだ。中国に進出して、中国軍と取引する中国企業に、(軍事転用可能な)技術を提供することを是とするのか。あちら側で何がなされるかは、こちら側からは見えない。(ビジネスと軍事の)二重目的の科学技術は存在する。
新しい経営のテーマだ。何が正しく、何が間違っている、といったことを私が言うつもりはない。ただ、日本の経営者は今後、こうした問題について考えなければいけない。それは言っておきたい。
過去60年以上、経営者はこうした(国防がからむ)テーマをあまり考える必要がなかった。
だが、それ以前は違った。1940年代には考え抜かねばならなかった。
それは当時なら、「ヒトラーのドイツと取引するのか?」についてだった。
ヘンリー・フォードの反ユダヤ思想
米自動車大手フォードの創業者ヘンリー・フォードは、「ヒトラーのドイツ」に対して好意的だったという*。だが一方で、それをよしとしない経営者もいた。
当時は、ナチスとの取引は禁止されてはいなかった。では、政府にダメだと言われないかぎり、経営者は取引を続けるのか? それとも、自分自身の良心に従うのか?
これこそ(我々が今、直面している)新たな問題だ。
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