ティース教授:(5GやIoTの推進に関わる)移動体通信システムの標準化を担う組織である3GPPは、非常に優れた技術者集団である。しかし、これを今、中国がコントロールしようとしているようだ。

 中国には今、品質のあまりよくない特許があふれかえっている。特許の数は多いが、数に注目するのは正しくない。中国には、世界でベストな技術を生み出すのではなく(5Gの)世界における技術標準を自国に有利なものにすることで、影響力を行使しようとしている動きがある。

 5Gの技術に関係する特許の多くを握れば、各国が中国に特許料を支払うことになる。

 (次世代情報技術などについて)中国には25年までの計画がある。そして35年には、世界標準をコントロールするという計画もあるようだ。

「中国製造 2025」のこと。中国の習近平(シー・ジンピン)指導部が15年に発表した産業政策で、「次世代情報技術」や「新エネルギー車」など10の重点分野を定め、製造業の高度化を目指す。25年までの目標を「世界の製造強国の仲間入り」とする。

中国と「倫理観」を共有できるか?

この先10年、重要な課題になりそうです。

ティース教授:また、医療科学分野では既にすごいことが起こりつつある。個人の特性に合わせた(オーダーメード型の)医薬品が登場し、劇的に広がっている。

 このような状況下では、科学技術が繁栄する枠組みと、それをきちんと規制するシステムが同時に必要だ。とりわけ医療技術と倫理の問題に、私は懸念を深めている。

 西側の民主主義諸国と中国は、必ずしも同じ倫理観を共有しているわけではない。例えば、(医療技術の発達が)新しいタイプの生物を生み出してしまったとき、どこで(研究を)終わらせるのか。我々はそれを考える組織を持たない。(先端技術の社会的な影響を監視する)グローバルな統治機構がないのは問題だ。気候変動への対応ですらそうしたものが存在しない。これは解決すべき課題だ。

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