金利ゼロ、やはりこれはおかしい

グローバリズムが進展してきたこれまでの歴史で、日本企業もスリム化、海外展開を積極的に進めてきています。その現状で、生活密着型の企業を見つけるのは大変なのでは?

澤上氏:真逆です。生活に身近な企業でも十分なのです。例えば、税引き前利益率が10%の会社で考えてみましょう。利益の4割を税金で支払い、残りの6割の半分を配当と内部留保にする。これを毎年続けていけば純資産は積み上がり投資価値は着実に高まる。実生活の速度に則した投資でも十分にリターンは出る。これが投資の本質なのです。

 物価上昇率が3%くらいだとすれば5、6%の利回りで十分と考えるのが、元来、投資なのです。それが、1980年代くらいから大きく変わってしまいました。年金など機関投資家が運用実績という数字を追い回すようになった結果、いろいろおかしなことが普通になってしまいました。一例を挙げれば、金利ゼロ。これはやはりおかしい。金利というのは、経済活動のインセンティブです。冷静に考えれば、金利なしに経済が回るわけがありません。

今の金融マーケットの状況を肯定して、それを新常態と位置づけるのはおかしいというわけですね。

澤上氏:はい。もう少し落ち着いた価値判断で行動できる人たちが出てきてもいいのだと思います。昔の資本家やバンカー(銀行家)のように。彼らが今の大半の投資家と違うのは、身銭を切って投資していたことです。

 だから、バランス感覚やリスク感覚がありました。ところが、いつの時代からか自分の財産を投入するのではなく、運用専門の代理人(エージェント)が投資を担うようになった。預かっているだけのお金ですから、野放図で無責任な運用で平気なわけです。これが危険な状態に拍車をかけていると思います。

次回は金融バブルが崩壊するリスクに備えて何をすべきなのか、実際に株価が大幅に下落したらどのような行動を取るべきなのかなどについて話を聞きます。

澤上氏と草刈氏が共同執筆した『金融バブル崩壊』
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コロナ禍が長引く中、高値更新が続く株式市場。しかし、空前の低金利や日銀のETF買いを受けた株高はいつまでも続かず、崩壊するリスクが高まっている。もし、金融バブルがはじけたとしても、慌てることなく、それをチャンスに変えて稼いでいくために、どう考え、どう行動すべきなのか。長期投資の第一人者が、その哲学を熱く語り、投資戦略をクールにひもときます。

現代の金融システムや、古今東西の歴史を振り返って「バブルの仕組み」を分析し、その崩壊局面に備えて、どうすればしっかりと身の回りを固められるのか、を分かりやすく解説します。経済の本質を知り、自分の頭で考えることで、遠くない将来にやってくるであろう危機をチャンスに変えるための投資戦略を学べる1冊です。

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