新型コロナウイルスが流行した2020年以降、有意義な学校生活を送れなかったと嘆く中高生は多い。その先に見える未来は、とりあえず勉強し、そこそこの大学に入り、バイトとサークル活動にあけくれる……。そのような漠然とした進路のイメージしか描けず、将来への不安も抱いている学生に、「進路に対してモヤモヤした思いがあるなら、留学を検討してみては」とアドバイスするのは、『やりたいことが見つからなければ留学しなさい。』の著者で、海外進学専門家の山内勇樹氏だ。どこにでもいる「普通の高校生」が世界のトップ大学に留学する支援をしている山内氏に話を聞いた。
山内さんは「普通の高校生」を海外のトップ大学に送り込む支援をしているそうですね。何か特別な方法があるのでしょうか?
山内勇樹氏(以下、山内氏):偏差値50を切るようなお子さんが、米国のスタンフォード大学、マサチューセッツ工科大学(MIT)、カリフォルニア大学バークレー校(UCバークレー)、カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)などの名門大学に入学しています。それを見て「何か『裏道』のようなものがあるのではないか?」と思われるのですが、そんなことはありません。日本では留学に対する情報があまりに乏しいため、みなさんトップ大学に入る方法を知らないのです。
米国でもカナダでも、海外の4年制の大学に入るには、2つのルートがあります。1つは高校を卒業して、そのまま4年制大学に入る方法。もう1つは「コミュニティーカレッジ(以下、コミカレ)」に入って、「トランスファー(編入)」する方法です。コミカレは日本でいう短大です。地域に根ざした2年制の大学と考えてください。日本の短大は女子大が多い印象がありますが、コミカレは男女を問わず入ることができます。日本の大学において、3年次から別の大学に編入する人はそれほど多くありませんが、米国ではコミカレで2年学び、4年制大学の3年次に編入するのは、一般的な方法です。また、米国に限った話ではなく、世界の多くの国で、「トランスファー」というのは広く普及している仕組みです。

日本の高校生が、トップレベルの海外の4年制大学にそのまま入学するのは、かなり難しいものです。成績が「オール5」近くなければなりません。抜群の英語力も必要ですし、志望校に合わせた出願志願書や、推薦書などを英語で用意しなければなりません。留学したい高校生が100人いるとしたら、独力でその準備ができる人は5人を切るようなイメージです。
一方、コミカレの応募には、飛び抜けた成績も手の込んだ志願書もいりません。英語力で言えば、英検2級程度あれば問題ありません。ですから、コミカレに入学するハードルは非常に低いのです。大切なのは、入学してから。コミカレでいい成績を取って4年制大学に編入するには、それなりの戦略が必要です。僕の生徒たちがトップ大学への編入を勝ち取っているのは、編入のしやすいコミカレに誘導し、そこでいい成績を取らせているからです。
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