嫌われる勇気』著者の岸見一郎氏と、気鋭の経営者が対話するシリーズ。

 リーダーシップを初めて論じた著書『ほめるのをやめよう』において、上司と部下が対等な関係にある「民主的なリーダーシップ」を提唱した岸見氏。それに対して、カヤックの柳澤大輔CEOは前回、「共感はするが、そのようなリーダーシップが、強いと言い切れるか?」と、疑問を投げかけた。売り上げを上げ、利益を上げるという「競争」の側面から見れば、上意下達の「強権的なリーダーシップ」のほうが強いこともあるのではないか、と。

 岸見氏はそもそも「競争」を否定する。「では、競争をまったく学ばなかった人は、どうなるのか?」と、柳澤氏は尋ねる。

柳澤:岸見先生は、競争に対して否定的ですよね。しかし、競争をまったく学ばなかった人というのは、どうなるのでしょう。

 僕には娘と息子がいて、2人とももう大学生ですが、昔、通っていた鎌倉の幼稚園が、徹底して子どもたちに競争させない方針だったのです。運動会でも、順位をつけたりしない。

 その幼稚園を卒業したお姉ちゃん(娘)が、小学校に入ってから、運動会がありました。徒競走が始まると、うちのお姉ちゃんは、ニコニコと笑いながら、みんなの応援を受けてのんびり走っています。けれど、どこかで「あれっ?」と思ったようでした。「これって、1位になることを求められている競技なのかな?」と気づいたようで、そこから全力で走り出し、1位でゴールしました。一方、同じ幼稚園を卒業した弟(息子)のほうは、最後までニコニコとマイペースで、全力で走らないまま、最初の運動会が終わりました。

 それを見ていて僕は、幼稚園児に競争を教えないでいると、こういうことになるのかと思ったのです。

それでいいのでしょうか。

<span class="fontBold">岸見一郎(きしみ・いちろう)</span><br>1956年、京都生まれ。哲学者。京都大学大学院文学研究科博士課程満期退学(西洋哲学史専攻)。著書に『嫌われる勇気』『幸せになる勇気』(古賀史健氏と共著、ダイヤモンド社)、『生きづらさからの脱却』(筑摩書房)、『幸福の哲学』『人生は苦である、でも死んではいけない』(講談社)、『今ここを生きる勇気』(NHK出版)、『老後に備えない生き方』(KADOKAWA)。訳書に、アルフレッド・アドラー『個人心理学講義』『人生の意味の心理学』(アルテ)、プラトン『ティマイオス/クリティアス』(白澤社)など多数。
岸見一郎(きしみ・いちろう)
1956年、京都生まれ。哲学者。京都大学大学院文学研究科博士課程満期退学(西洋哲学史専攻)。著書に『嫌われる勇気』『幸せになる勇気』(古賀史健氏と共著、ダイヤモンド社)、『生きづらさからの脱却』(筑摩書房)、『幸福の哲学』『人生は苦である、でも死んではいけない』(講談社)、『今ここを生きる勇気』(NHK出版)、『老後に備えない生き方』(KADOKAWA)。訳書に、アルフレッド・アドラー『個人心理学講義』『人生の意味の心理学』(アルテ)、プラトン『ティマイオス/クリティアス』(白澤社)など多数。
<span class="fontBold">柳澤大輔(やなさわ・だいすけ)</span><br>カヤックCEO<br>1974年、香港生まれ。慶應義塾大学環境情報学部卒業後、会社勤務を経て、98年、学生時代の友人と共に面白法人カヤックを設立。鎌倉に本社を構え、オリジナリティのあるコンテンツをWebサイト、スマートフォンアプリ、ソーシャルゲーム市場に発信する。ユニークな人事制度やワークスタイルも発信。著書に『面白法人カヤック会社案内』『鎌倉資本主義』(ともにプレジデント社)、『アイデアは考えるな』(日経BP)、『リビング・シフト 面白法人カヤックが考える未来』(KADOKAWA)、『面白法人カヤック社長日記 2015年-2020年愛蔵版』(Kindle版)などがある。
柳澤大輔(やなさわ・だいすけ)
カヤックCEO
1974年、香港生まれ。慶應義塾大学環境情報学部卒業後、会社勤務を経て、98年、学生時代の友人と共に面白法人カヤックを設立。鎌倉に本社を構え、オリジナリティのあるコンテンツをWebサイト、スマートフォンアプリ、ソーシャルゲーム市場に発信する。ユニークな人事制度やワークスタイルも発信。著書に『面白法人カヤック会社案内』『鎌倉資本主義』(ともにプレジデント社)、『アイデアは考えるな』(日経BP)、『リビング・シフト 面白法人カヤックが考える未来』(KADOKAWA)、『面白法人カヤック社長日記 2015年-2020年愛蔵版』(Kindle版)などがある。
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