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 記者は「16歳でオレオレ詐欺師になった」という若者に接触し、インタビューを敢行した。片っ端から高齢者に電話して、息子を装ってカネをむしり続けたという。

 警察庁の集計によればオレオレ詐欺の被害総額は2018年に189億円となり、6年連続で150億円を上回った。だまされた高齢者は悩み苦しみ、中には命を絶つ者もいる。

 そんな卑劣な犯行に及んだ青年を山口宗佑氏(仮名)と呼ぶことにしよう。大阪・新世界の喫茶店で対面した山口氏は、野球帽とスニーカーをおしゃれに着こなす今どきの快活な若者だった。だがその口から語られたのは現実感を失い、暴走する現代の子どもたちの姿であった。

(聞き手は本誌・吉野次郎)

   

山口さんは今、何歳ですか。

山口:26です。詐欺師を始めたのは16だから、ちょうど10年前です。

16歳で詐欺師ですか……。一体どんなきっかけで悪の道に転落したのでしょう。

山口:僕は東京の中学を卒業すると高校には進学せず、地元の建設会社で働きながら暴走族のメンバーとして活動するようになりました。その暴走族のOBにかけられた一言がきっかけです。

山口氏は電話で言葉巧みに高齢者から金銭を巻き上げ続けた(写真はイメージ)

何と言われたの?

山口:「荷物の運搬を手伝ってほしい」と言われました。連絡用に他人名義の携帯電話を渡されたとき、さすがにヤバそうな仕事だと気づきましたが、もう後戻りできません。先輩の言葉は絶対だと自分に言い聞かせて引き受けました。運搬の当日、指定されたマンションの前で荷物を受け取った途端、スーツ姿の捜査員に取り囲まれました。警察署に連行され、オレオレ詐欺のカネを受け取る「受け子」をやらされていたことを知りました。

詐欺に気づいた被害者が警察に通報していたんですね。詐欺稼業の初日に逮捕されたのは、せめてもの救いだったと思うのですが。

山口:僕も改心して真面目に働こうと思いましたが、勤めていた建設会社には復職を認めてもらえませんでした。そんなとき再び暴走族のOBから「詐欺をやらないか」と声をかけられました。収入がなくなり、お金に困っていたので思わず「やります」と答えてしまいました。

また受け子を引き受けたのですか?

山口:違います。詐欺グループに戻った僕は「かけ子」に昇格しました。名簿に従って高齢者に電話をかけ、言葉巧みに金銭を巻き上げる最前線の要員です。

どんな職場環境でしたか?

山口:詐欺グループは東京都内で「ハコ」と呼ばれる拠点を4カ所運用していました。そのうちの1つの賃貸マンションが僕の配属先でした。ここには自分のほかにも3から4人のかけ子がおり、連日電話をかけていました。

近所に怪しまれたりしませんか?

山口:「怪しげな若者が頻繁に部屋を出入りしている」などと近所に通報されるリスクは常にありますので、なるべく目立たないように行動していました。出勤時間は毎週日曜日の夕方で、退出は金曜日の夕方です。この間、一歩も外に出られません。つまり6日間にわたってハコに缶詰となり、電話をかけ続けるわけです。窓枠には目張りを施して外に漏れる音を減らすとともに、外から中の様子がのぞけないように昼間でも遮光カーテンを締め切っていました。

かなり窮屈な共同生活ですね。私は耐えられないな。

山口:僕も最初は苦痛でしたが、そのうち平気になります。慣れって不思議なものですね。