(前回はこちら→「新型コロナの変異は『当たり前』の話、騒げば騒ぐだけ損」)

 昨年末、『新型コロナとワクチン 知らないと不都合な真実』の初刷りが出た時点では、第3波の到来が言われ始めたものの、現状のような急拡大は予想されていませんでした。

 本書の主張は「感染症の対策はその社会の状況に大きく依存する」(170ページ)です。感染が拡大していなければ徐々に緩め、急拡大しそうならば思い切って強化する。社会も、個人も、煽らず、冷静に、たんたんと対応することが重要、と峰宗太郎先生は訴えています。

 さて、現状はどうでしょう。どのくらいの対策、心構えが必要なのか。ネット越しで峰先生に伺ってみました。(編集Y)

編集Y:緊急事態宣言が出ても新規感染者数がまだ減らず、重苦しい状況が続いています。Twitterを見ていたら、食事中の会話を避けるために、「今こそひとりメシ」というか『孤独のグルメ』しよう、というツイートがありまして。例によって私、こちらのマンガの初版以来のファンでもちろん松重豊さんも大好きで、「ああ、外食への応援と、飛沫回避の両立のためにこういう考え方もあるなあ、すてきだな」と思ったんですが、峰先生、どうでしょうか、個食。

峰 宗太郎(以下、峰):1人の食事を外食先で、ということですよね?

編集Y:そうです。大人数で行かず、個人で静かに食事しよう、という。もともとひとりメシが大好きなこともありまして、これ、いいじゃない? と思っているんですけれど。

:……これは難しい。今、これはストレートに答えるのがものすごく難しいお話です。1人で行けば会話がないし、主要な感染経路である飛沫感染からのリスクが低いだろう、ということですよね。それはその通りです。この年末年始を迎えるまでなら「いいんじゃないですか? 経済を回しましょう」と気軽にお返事したでしょう。私も『孤独のグルメ』とか『ワカコ酒』大好きですし。マンガもドラマも。

編集Y:私もワカコ酒好きです! ……では年末年始を越えた今はどうなんでしょう。

:まずこのグラフを見てください。

出所:<a href="https://ourworldindata.org/coronavirus/" target="_blank" class="textColRed">https://ourworldindata.org/coronavirus/</a>
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編集Y:げげっ、なんですかこれは。新規感染者数の推移?

:やっぱり驚きますよね。感染者数急増、と言葉や数字では知っていても、このカーブの立ち上がり方をあらためて見ると、実態がよりリアルに感じられるのではないでしょうか。

編集Y:この、ほとんどX軸そのものみたいにおだやかな感染者数の線はどこですか。

:世界で3つ、特に感染を抑え込めている国がありまして、その1つである中国です。残りは台湾とニュージーランドです。もうひとつ行きましょうか。

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編集Y:こちらは?

:お隣の韓国です。昨年末あたりから日本とよく似た上昇カーブを描きかけていましたが、抑え込みに成功しつつあるように見えますね。

編集Y:うーむ……。日本はいつのまにこんなにひどいことに。日本の感染者数のグラフって、諸外国と比べると、ずっと下の方で推移していた気がするんですが。

:ああ、それは、米国とか英国とか、本当にけた違いにひどいことになっている国と比べるからですよ。Yさんの印象はこういうグラフではないですか?

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編集Y:ああ、こんな感じです! 状況は何も変わらないのにちょっとほっとしたりして。グラフって怖い。

:そう、英米と比べて安心してはダメなんですよ。両国が新型コロナの対策に、言葉を選ばずに言えば「大失敗」していることが分かりますよね。

編集Y:それにしても、年末前の時点では、「日本は感染症対策にとって恵まれた国民性、社会習慣を持っている国だ」と考えていたのですが、年を越えたら状況が激変して、中国、韓国に大きく差を付けられてしまった。何があったんだ?!

続きを読む 2/5 年末年始で破られた防衛ライン

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