そうなんですか? やっぱり楽天市場にもやらせレビューを書かせているんですか?
王:もちろんです。当社を含め坂田地区のネット販売業者が多く扱ってるIT機器の分野では、アマゾンの販売力がほかの通販サイトを圧倒しているのですが、最近は楽天市場が存在感を増しています。当社も試しにストアを開設し、このほど正式に出店しました。アマゾンで培ったノウハウを生かして、楽天市場にやらせレビューを書いてもらっています。
やらせに加担するレビュアーを募る方法を教えてください。
王:楽天市場もアマゾンも基本的に同じですが、私が手がけているアマゾンのケースでお話しましょう。私はフェイスブックやLINEでやらせに協力してくれる日本人のレビュアーを募集しています。

中国人には依頼しないのですか?
王:中国人がレビューを書いても不自然な日本語になることが多いので、読み手が信用してくれません。レビュアーは日本人でないとダメです。
気持ちを込めて嘘を書く
やらせレビューを書き込ませるまでの手順を教えてください。
王:応募者にはチャットでレビューの方法を指南します。まずは商品を購入してもらうところから始まります。実際に購入するとレビュー欄に「Amazonで購入」と表示され、信ぴょう性が増しますからね。レビュアーの手元に商品が届けば、最高得点の五つ星とともに、商品を褒めたたえるレビューを書き込んでもらいます。レビュアーにはこちらが指定した特定のキーワードを盛り込むよう指示しています。アマゾン内のキーワード検索で商品を上位に表示させるための工夫です。それと気持ちを込めて書くよう指導しています。いいかげんな書き込みだと、チャットで叱責します。日本人のフリをして応募し、不自然な日本語を書き込んだ場合も怒ります。ちゃんと書き直すまで、約束した金額は支払いません。
一体いくらぐらい支払うのですか?
王:商品代をそのまま返金しています。レビュアーは実質的にタダで手に入れた商品をすぐにネットで転売して、自分のもうけとしています。もっとも高価な商品であれば、五つ星と商品を褒めたたえる書き込みだけでは、全額は返金しないのが坂田地区の通例となっています。様々なオプションを用意し、それらをすべて実行して初めて全額を返金することが多いですね。
詳しく教えてください。
王:私の場合、値段が3000円以上の商品からオプションを設定しています。例えば5000円の商品であれば、五つ星と高評価の書き込みだけでは、3000円しか返金しません。残りの2000円はオプションをすべて実行することを条件に返しています。例えば商品の動画をレビュー欄に載せれば800円、商品の写真を8枚載せれば800円というように加算していきます。それなりに高価な商品ですから、レビュアーにもがんばってもらわないと困ります。ただし、「ベストレビュアー」は優遇しますよ。
どういうことでしょう。
王:アマゾンは投稿総数やレビューを参考にした人の数に応じてレビュアーを順位づけしています。上位にランクインすればベストレビュアーの称号がもらえ、レビュー欄に表示されます。彼らのレビューは影響力があるので、坂田地区のネット販売業者はベストレビュアーを買収してやらせレビューを書かせることがあります。
買収金額は?
王:上位500位以内の「ベスト500レビュアー」であれば、少し前までは2000元(約3万2000円)だったのですが、相場は日々変動しており現在は1000元(約1万6000円)で推移しています。ベスト10レビュアーとかにもやらせ頼みたいんですけど、何せ人数が少ない。やらせを依頼する以前に、彼らと人間関係を結ぶのが難しいのが悩みの種です。
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