柳澤:『ほめるのをやめよう』という本のタイトルは、“釣り”ですよね。いろいろな主張のなかから、意外性があるものを選んだのであって、これが一番、言いたいことではない。
そうですね(苦笑)。
柳澤:本題は「民主的リーダーシップ」というか、いわゆる「サーバント型リーダーシップ」のすすめですよね。僕らも結構、そちら側の会社なので、読んで共感するところはすごく多かったですし、僕らが考えていることを言語化していただいた感じがありました。
ここで柳澤さんがCEOを務めるカヤックについて、少し補足します。
1998年、柳澤さんと学生時代の友人3人で創業したカヤックは、ウェブ制作、ウェブサービスを中心に、ゲーム関連事業や地域プロモーションなど、幅広い事業を展開。2014年に東証マザーズに上場しています。「面白法人」を自称し、ユニークな組織運営でも注目を集める存在です。有名なのは、例えば「サイコロ給」。毎月、給料日前に全社員がサイコロを振り、出目によって今月の支給総額が決まるという仕組みがあります。
そんなカヤックのCEOとして、岸見先生の主張する「民主的なリーダーシップ」、ないしは「サーバント型リーダーシップ」には共感する、と。
柳澤:ただ、こちら側のリーダーシップ(民主的リーダーシップ)が、「勝つ」のかというと、どうなのでしょうか。

1956年、京都生まれ。哲学者。京都大学大学院文学研究科博士課程満期退学(西洋哲学史専攻)。著書に『嫌われる勇気』『幸せになる勇気』(古賀史健氏と共著、ダイヤモンド社)、『生きづらさからの脱却』(筑摩書房)、『幸福の哲学』『人生は苦である、でも死んではいけない』(講談社)、『今ここを生きる勇気』(NHK出版)、『老後に備えない生き方』(KADOKAWA)。訳書に、アルフレッド・アドラー『個人心理学講義』『人生の意味の心理学』(アルテ)、プラトン『ティマイオス/クリティアス』(白澤社)など多数。

カヤックCEO
1974年、香港生まれ。慶應義塾大学環境情報学部卒業後、会社勤務を経て、98年、学生時代の友人と共に面白法人カヤックを設立。鎌倉に本社を構え、オリジナリティのあるコンテンツをWebサイト、スマートフォンアプリ、ソーシャルゲーム市場に発信する。ユニークな人事制度やワークスタイルも発信。著書に『面白法人カヤック会社案内』『鎌倉資本主義』(ともにプレジデント社)、『アイデアは考えるな』(日経BP)、『リビング・シフト 面白法人カヤックが考える未来』(KADOKAWA)などがある。
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